EC各社が火花を散らした618セール ライブコマースが販促効果で突出

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EC大手「京東(JD.com)」が会社設立記念日の6月18日にちなんで始めた大型キャンペーンは、他社を巻き込んで年を追うごとに規模が拡大し、いまや11月11日「独身の日」に次ぐネットショッピングイベントとなった。今年の618セール期間には、京東や「天猫(Tmall)」はじめ各社が低価格を全面に打ち出し、大幅な割引を行った。

正攻法とも言えるこのような販促を行う一方で、EC各社は新たな販促手法を模索している。一つの傾向は、コンテンツマーケティングを活用して新鮮味を出し、購買率を高めて業績に結びつけるというものだ。

コンテンツに根ざしたプロモーションが最も充実しているのがモバイル版「タオバオ(淘宝)」だ。ニュースサイト「淘宝頭条」、インフルエンサーの「淘宝達人」、ライブコマース「淘宝直播」、プロモーションツール「微淘」など多岐にわたるジャンルを展開している。淘宝直播と微淘から閲覧できる「買家秀(消費者が購入した商品を紹介すること)」は、タオバオにとってトラフィック増加の主軸だ。

その後を追う京東も、ライブコマースやショート動画を導入して自社のコンテンツエコシステムを作り上げている。同社の新技術商品運営ディレクターの胡長健氏によれば、動画のない商品に比べると、動画付きの商品では購買率が18%も高いという。

ソーシャルコマースの「拼多多(Pinduoduo)」や越境EC「ネットイースコアラ(網易考拉)」も続々とコンテンツ化に乗り出している。

コンテンツ化戦略の中で、めざましい成果を上げているのがライブコマースの淘宝直播だ。責任者の趙圓圓氏によれば、淘宝直播はこれまでずっと急成長を遂げており、月間アクティブユーザーの増加率は350%だという。

淘宝直播がもたらすアクセス増効果は、618セールのような大型キャンペーンでも際立っている。調査会社「QuestMobile」のデータによれば、618セール期間のデイリーアクティブユーザー数はモバイル版タオバオが2億4000万人で、2位の拼多多の2倍、3位の京東の5倍に上ったという。タオバオや天猫の膨大なユーザー数や618セール中の大規模な割引キャンペーンの影響を差し引いても、淘宝直播や共同購入サイト「聚劃算(juhuasuan)」など、傘下で展開するコンテンツ化商品の貢献度は高い。

618セール期間中の主要ECサイトのデイリーアクティブユーザー数推移

618セールの初日である6月1日、淘宝直播経由の取引高は前年比で600%近く増加し、セール期間中に合計130億元(約2000億円)もの取引をもたらした。タオバオのECコンテンツ事業総経理の聞仲氏が今年3月に語ったところでは、2018年に淘宝直播を経由した取引額は1000億元(約1兆6000億円)を超えたという。

淘宝直播の快進撃の裏で、ある傾向が見られる。これまでEC各社はライブコマースやショート動画、ミニゲームなど多彩な形式でコンテンツマーケティングを模索してきたが、ここに来て一斉にライブコマースに精力を注ぐようになったのだ。

実際、効果を上げているのはタオバオだけではない。ソーシャルコマース「蘑菇街(mogujie.com)」もライブ配信事業で劣勢を挽回した。2019会計年度の上半期だけでも、ライブコマースによる流通総額(GMV)は14億元(約220億円)に達する。コンテンツ型コミュニティの「快手(Kwai)」もライブ配信を活用したEC事業が好調だ。追いかける他社も、この分野でのシェア獲得を狙っている。

売り上げに直結しやすいライブコマースは、EC各社がこぞって手を出す人気分野となった。同時に、一部のECサイトにとっては、618セールなどの大型キャンペーンで威力を発揮する強力な武器である。とはいえ、ライブコマースの本当の黄金期はまだ先だと思われる。それまでに、ユーザーの定着率やコンテンツのコモディティ化といった問題を解決しておくことが必要だろう。
(翻訳・畠中裕子)

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