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デジタル化の浸透により急成長を遂げてきたインターネット広告業界だが、最近は消費者からの注目度の低下、トラフィック獲得コストの増大及びデジタル化がもたらした情報収集チャネルの細分化といった問題に悩まされている。そんな中、ビッグデータとテクノロジーを活用した、消費者の生活シーンに溶け込む屋外広告が注目を浴びている。
その商機に目を付けた「215伝媒(panvis)」は、自家用車の車体広告を手掛けている。6月の創業以来、上海、江蘇省、浙江省、四川省、広東省で2万人近くのカーオーナー(車の所有者)と提携し、彼らの自家用車の車体に広告を載せている。広告主は地方政府機関、展示会、大手ECおよび美容プラットフォームなどを含む数十機関である。
調査会社「前瞻産業研究院」が発表した「中国屋外広告業界市場予測と投資戦略計画分析リポート」によると、中国の屋外広告業界の市場規模は2014年に1000億元(約1兆5000億円)を超え、それ以降、年成長率20%以上で拡大している。2018年には1733億元(約2兆6000億円)に達し、今後数年間は高成長を続けると見込まれている。
自家用車の車体広告は目新しいものではない。この分野のパイオニアである「南京甲客」は2007年に設立されて以来、大きな話題を呼び、CCTV(中国中央テレビ)の取材を4回も受けた。しかし、2018年末、同社は市場から消えた。モバイルインターネット時代以前に登場した南京甲客のような自動車の車体広告会社では、車の所有者を効率よく大量に集めて大規模に広告を配信することができず、広告主のニーズを効果的に満たすことができなかったのだ。
215伝媒はターゲティングの精度を高めるため、カーオーナーの属性情報と車体に載せる広告の内容を関連付け、言わば車体を「人物化」している。例えば、AIシステムが幼稚園、キッズスクール、こども病院などに頻繁に出入りする自動車を検出し、しかも所有者の年齢は30歳と判明した場合、この車の所有者は子持ち世代だと判断される。これらの情報に基づいて、システムが広告主に対して、その自動車にこども用品の広告を表示することを提案する。一方、カーオーナーも自分の車に載せる広告を選択することができ、215伝媒が強制することはない。
また、同社研究チームは広告効果を測定できるハードウェアデバイスを開発。車内に取り付けられているデバイスが、車両から10メートル以内に3秒以上滞在した歩行者のモバイルデバイスの独立したデバイスコードを取得することによって、広告の露出度と広告に接触した人数が正確に算出される。広告配信期間中、広告主は、管理画面を通じて、車両の走行軌跡と広告の露出度をリアルタイムで確認でき、配信終了時に、複数のディメンションのパフォーマンス評価レポートを受け取ることができる。このシステムによって、215伝媒は屋外広告業界初のCPM(1000回表示あたりの広告コスト)ビジネスモデルを実現した。
215伝媒創業者の畢怡然氏は米ペンシルベニア大学ウォートン校を卒業したシリアルアントレプレナーである。同社はソフトウェアとハードウェアの開発、新たな広告主の開拓及びカーオーナーの運営管理のため、資金調達を計画しているという。
(翻訳・桃紅柳緑)
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