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誰でも一度は脈を取って自分の心拍数を測ったことがあるのではないだろうか。脈拍とは心臓が規則的に収縮して血液が押し出されるたびに動脈に伝わる周期的な運動であり、心拍数や血中酸素、血圧など血流の規則的な変化を連続的に示し、心臓血管の機能を診断することができるため、重要な臨床的価値を有する。80年代に、一部の大学や研究病院が人間の脈拍から心拍や血管の弾性といったデータの採集を始めた。現在では、脈拍と心臓および脳の血管疾患、腎臓病、糖尿病、婦人科疾患等との関係性も実証されている。
「金姆健康(Jinmuhealth)」では脈拍の臨床医療における価値をビジネスに利用している
他のスマート医療の応用商品と同様、同社商品も信号コレクターやモバイル端末のアプリ、中央データクラウドサーバーの複合体だ。信号コレクターは指を通過した光強度の変化を記録し、心臓の拍動や血管の容積における周期性の変化信号(PPG技術)を取得する機器だ。アプリは信号をクラウドサーバーに送信する。中央データクラウドサーバーは人体の各臓器に対応するアルゴリズムの強弱を解読し、各ユーザーに対して詳細な情報を提供し、保養や治療のアドバイスを行うものだ。
では同社商品のアルゴリズムにはどんな特色があるのか?
金姆は主に台湾の中山大学物理学部の王唯工教授が提唱している人体の生気と血液の共振理論における高調波共振の原理を採用している。各臓器には重要な共振振動数があり、それこそが高調波共振の原理だという。
市場に出回っている多くの商品は、主に現代医学でもてはやされている血液流体力学の観点に基づいている。運動エネルギー理論を中核としており、人体の血液量を安定させれば血液循環を正常にすることができるという考え方だ。しかし、共振理論では、運動エネルギー理論は血液循環で最も重要な「血管における圧力波のポテンシャルエネルギーの共振と伝達現象」を無視しており、その見解には無理があるとしている。
注目に値する点として、金姆の開発チームはユーザーの脈波データを100万件以上、中国医学と西洋医学の比較臨床データを50万件、病院、研究所などの臨床データを10万件蓄積しており、そのアルゴリズムは日ごとに精度を高めている。300例に上る最新の臨床比較研究によると、金姆の脈波AIシステムの弁証一致率は85%に達しているという。
金姆は近ごろ、生理周期の管理アプリ「大姨媽」と提携。スマホのカメラレンズを直接触るだけで生理周期を正確に測定することができる。大姨媽がマーケティングと運営を担当し、金姆が測定の技術サポートと臨床試験を担う。金姆の予想では、2020年8月までにこの提携によって5000万元(約7億5000万円)の収入が期待できるという。
では同機能の臨床的意義とは何か。金姆の創業者の王普中氏によると、開発チームは脈の状態と女性ホルモンや生理周期、不妊症の関係性、閉経後の女性の健康などに関して多岐にわたる研究を行ったという。女性の閉経が循環器に与える影響について研究し、閉経と年齢、肥満の関係についてまとめた。研究では金姆パルスメーターを導入し、閉経が心臓血管系統にもたらす変化を観察してきた。これは血圧測定などの技術だけでは観察しきれないものだ。
商業化という面から見た場合、王氏によれば45-55歳の女性は収入が最も高く、アンチエイジングへの願望も最も強いことから、このような測定サービスを喜んで利用するという。
2017年6月から現在まで、金姆は20万人以上のユーザーに商品やサービスを提供。108%の四半期成長率を維持している。商品の粗利率は60%に達しており、売上は2000万元(約3億円)を突破した。
王氏によると、同社は間もなく初めての資金調達を行うという。
(翻訳・虎野)
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