アップル、iPhone 17で「インド製」前面に Proシリーズは中国依存続く

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アップル、iPhone 17で「インド製」前面に Proシリーズは中国依存続く

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アップルは新型 iPhone 17 シリーズを9日(米国時間)に正式発表した。外観デザインが刷新されるのは過去5年で最大の変化だが、より大きな転換点はサプライヤー体制にある。

ブルームバーグによると、アップルは当初、米国市場向けの iPhone 17の全機種をインドにある5つの工場で製造する計画だという。新製品の全機種の生産ラインアップを初めてインドに委ねるというものだ。

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サプライチェーンの移転加速

クックCEOに就任して以来、アップルは中国本土のサプライチェーン(供給網)への依存を低減し続けてきた。トランプ米大統領が就任した後に引き起こされた地政学的リスクも、アップルがサプライチェーンを移転する歩みをいっそう速めることとなった。

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過去数年間、サプライチェーンを継続的にインドへ移転し、かつインド製のiPhoneを米国市場に投入してきた。これに先立ち、台湾受託生産大手の鴻海精密工業(ホンハイ)傘下の富士康(フォックスコン)、緯創資通(ウィストロン、Wistron)、和碩聯合科技(ペガトロン、Pegatron)などのインドにある工場はすでにiPhone 15や16などを量産してきた。そしてiPad、Mac、Apple WatchやAirPodsといったその他のデバイスについては、その一部がベトナムから運んでいる。

インド税関のデータによると、今年6月、フォックスコンが中国からインドへ輸入した部品のうち、およそ10%がiPhone 17の部品であった。

市場調査会社Canalysの報告では、2025年4~6月期にインドで組み立てられたスマートフォンは米国の輸入シェアの44%を占め、昨年の13%を大きく上回った。上級アナリストのビョルホフデ(Bjorhovde)は4~6月期に米国で販売されたiPhoneは、すでにおよそ80%がインドで製造されていると指摘した。

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インド製造の台頭と限界

無視できないのは、インドがすでに比較的成熟してきており、精度が高くかつ大規模な生産能力を備えたスマートフォン製造センターへと発展していることである。とりわけ、OPPO、vivo、シャオミ(小米)などの中国のスマートフォンブランドは、現地ですでに長年「奮闘」してきており、地元製造業の不断のレベルアップを後押ししてきた。

しかし、現時点ではアップルがインド製造に「全投入」することを意味するわけではない。生産能力とはまた異なる、インドの効率による問題が一つの要因だ。
以前、インドのメディアは、世界に出荷されるiPhone 17はすべてインドで組み立て製造されると伝えた。これに対して、サプライチェーン業界の専門家は「その情報は正確ではなく、インドの生産能力はまだ世界的な需要をカバーすることができない。新興国の工場が中国本土の製造水準に到達するには、長期にわたる技術の蓄積と生産能力の立ち上げが必要である」と述べた。

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市場調査機関オムディア(Omdia)が提供するデータによると、2024年のアップルのiPhoneの世界出荷台数は2億2590万台であり、2023年は2億2910万台だった。インド製iPhoneの生産能力が2億台を突破して初めて、アップルのグローバル全体の市場向けの生産を引き受ける可能性が出てくる。 これは長期的な生産能力の計画が求められるだけでなく、アップルのサプライチェーン全体の支援も必要である。

アップルのサプライチェーンは世界中に広がっており、その部品は米国、中国、日本、韓国、シンガポールなどから調達され、完成品はアジア諸国(インド、ベトナム、中国など)で組み立てられ、製品は世界中に供給されている。

アップルは「脱中国化」を加速させているものの、精密な製造技術、統合されたサプライチェーン、産業クラスター集積といったサポート体制などの面では、中国は依然として代替不可能な存在だ。現時点では、中国本土の工場が依然としてProシリーズの大部分の生産を担っている。

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(36Kr Japan編集部)

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