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2019年12月30日、化学産業チェーンの上流から下流までの顧客に包括的なECサービスを提供する「摩貝(MOLBASE)」を運営する「摩庫数据(Molecular Data)」がナスダックに上場したことを発表した。ティッカーコードは「MKD」。合計1150万の米国預託株式(ADS)が発行され、最終価格はADS1株あたり5ドル38セント(約590円)、発行総額は6187万ドル(約67億1000万円)となった。発行価格に基づく摩庫数据の時価総額は6億1900万ドル(約671億6000万円)。
2013年に設立された摩庫数据は、テクノロジー主導型企業であり、同社のサービス「摩貝(MOLBASE)」は、ナレッジエンジン「化合物百科」をコアとし、AIエンジンとSaaSサービスパッケージを通じて、化学産業チェーンの上流および下流の顧客向けに電子商取引、サプライチェーン・ファイナンス、物流・保管、データ情報サービス、マーケティングサービスなどのプラットフォームエコシステムとワンストップ型のECソリューションを提供している。
摩貝は2017年5月までに、セコイアキャピタル・チャイナ、「摯信資本(Trust Bridge)」、「創新工場(Sinovation Ventures)」、「復星鋭正(Fosun RZ Capital)」、「盤古創富(Vangoo Capital)」などから、5シリーズで合わせて数億元(数十億元)を調達している。
2019年9月30日時点で、摩貝には6500万件以上の化合物データ、1000万件の化合物、260万件のMSDS(化学物質安全性データシート)が掲載され、11万を超える顧客、3万5000のサプライヤーを擁し、50カ国以上でサービスを提供している。同社はモバイルアプリ「化運圏(化学工業分野向けSNS)」、ミニプログラム「商務小秘書」などのPCおよびモバイル端末向けオンラインプラットフォームも相次いでリリースした。さらに企業と銀行をつなぐ「銀企通」およびB2Bオンライン決済サービス「摩易付」を開発し、サードパーティのロジスティクスパートナーと提携し、全方位におけるサービス能力を拡張している。
目論見書によると、摩貝の2016年、2017年、2018年の売上高はそれぞれ32億600万元(約510億円)、42億元(約660億円)、90億5300万元(約1430億円)で、2019年1~9月の売上高は91億4500万元(約1450億円)、前年同期は60億8400万元(約960億円)だった。
ただし、2016年、2017年、2018年の摩貝の純損失は、それぞれ1億1400万元(約18億円)、1億800万元(約17億1000万円)、2億5500万元(約40億3000万円)であった。2019年1~9月の純損失は1億3300万元(約21億円)、前年同期は8804万元(約13億9000万円)だった。
経済情報メディア「節点財経(JIEDIAN.IO)」は、摩貝が京東の「自営+仲介」と知乎の「知識百科検索」の2つのビジネスモデルの長所を取り入れていると分析しており、メディアからは「京東+知乎」モデルと呼ばれている。摩貝の赤字経営の現状からいうと、このビジネスモデルが収益をあげるにはまだ時間がかかる。このような現状には以下のような原因があると考えられる。
中国国内の化学メーカーへの業界浸透率が低い
摩貝の目論見書によると、2018年に中国国内の化学品市場の規模は全世界の41.0%を占めたが、中国国内における化学工業ECの業界浸透率はわずか0.8%にすぎない。化学品は工業分野の基礎として最も重要な業界の一つだが、その主要取引シーンは依然として実店舗がメインとなっており、サプライチェーンも比較的固定しているというのが市場の現状だ。
物流・保管段階の弱点
物流・保管段階は現在もECプラットフォームにとって最大の課題であり、参入障壁となっている。自前の物流によるアセットヘビー型の経営は同社の参入障壁となっているが、同時にその高いコストが同社に資金的圧力と損失リスクをもたらしている。
目論見書によると、今回の上場によって調達を計画している7000万ドル(約76億円)のうち、35%は物流・保管、20%は技術と人材の拡充、30%は戦略的買収や日常運営などに充てられる。このように経営面で摩庫数据は依然として物流・保管に最も多くのリソースを配分しており、上場による資金調達が成功すれば、その資金によって摩庫数据の経営圧力はある程度緩和されるだろう。
化学工業業界に潜む安全リスク
全ての危険化学品には可燃性、爆発性、有毒性、有害性、腐食性などの危険特性があるため、生産から使用、保管、輸送および経営などの過程における安全管理コストが高い。このため業界企業は可能な限り生命、財産、安全および環境に対する危害と損失を回避しなければならない。
(翻訳・普洱)
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