AI搭載のモニターで睡眠中の乳児を守る リアルタイムに確認可能で働くママも安心

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AIを活用したコンピュータービジョン技術に注力する「SimShine(星巡知能)」がシリーズA1で数千万元(数億円)を調達した。「平潭創想未来(Pingtan Chuangxiang Future Investment)」が単独で出資を行った。同社は2019年8月にプレシリーズAで800万ドル(約8億3000万円)を調達している。

SimShineは2017年に設立され、2019年に組み込みAI技術を活用した家庭用セキュリティカメラ「SIM CAM」をリリースした。この製品は家庭におけるスマートモニタリングのニーズに応え、米アマゾンでは数万台の注文を獲得した。

2020年に入り、新型コロナの影響で製品の海外販売が難しくなったため、SimShineはターゲット市場を中国国内へと転換し、育児シーンに商機を見出した。自分で寝返りを打てない乳児の睡眠を見守ることが保護者の負担になっていることに着目したのだ。

睡眠中の0~3歳児に対するモニタリングというニッチ分野に焦点を当て、昨年4月にはAI搭載の乳幼児見守りデバイス「SIM BABY(海馬爸比)」をリリースした。この製品は乳幼児の睡眠状況を全面的にモニタリング・分析し、保護者の負担を軽減する。

SIM BABYの主な機能は以下の通り。

乳幼児の表情と泣き声を識別し、睡眠状況を測定した結果を保護者に知らせる。SimShineの研究開発チームはデータセットに対するトレーニングを繰り返し行い、泣き声の識別精度を95%以上とした。

仮想のベビーガードを構築し、危険エリアの検知を行う。乳幼児の身体の傾きが70度を超えたことを検知すると、保護者に対して自動的にアラートメッセージを送信し、リアルタイムに乳幼児の安全な睡眠を確保する。

デバイスが識別した画像・音声データを基にデジタル分析を行い、日々の睡眠レポートを生成する。

SimShineの張慶旗CEOは、同社の研究開発チームが組み込みAIのアルゴリズムに関する研究で4年の経験があり、製品のアルゴリズムは速度と精度において優位性を持つと語る。自社開発のネットワークモデルには汎用性があり、各種チップに対応しており、中国国内の主要チップメーカーとも提携しているという。

現在、市場の多くのAI製品はクラウドコンピューティングによって運用されているが、家庭内のようなプライバシーが重視される場面には適さない。この課題に対してSimShineは組み込みAIの研究開発を行い、デバイス側での処理が可能なエッジAIを採用した。収集した情報はデバイスに取り込んだ後のクラウド処理を行わず、ローカルに保存される。これによってユーザーのプライバシーを保証できる点が同社製品の大きな強みだ。

市場全体で見ると、乳幼児の見守りに焦点を当てたAIカメラの競合製品は多くない。離れた場所から乳幼児の様子を確認したり、対話したり、画像や映像を撮ったりする機能は海外で販売されているベビーモニターにも搭載されている。SIM BABYはこれに加えてアラート機能を搭載し、乳幼児の状態をリアルタイムで送信する。

現在、中国国内にはAIによる先進的なコンピュータービジョン技術を持つ企業が多くあり、セキュリティや無人運転、スマートシティ、スマートファクトリーなどの分野で製品化を進めている。これらの企業が将来的に家庭や育児の分野へ進出するかという点について、張CEOは「SIM BABYは市場で一定の認知度を獲得しており、当社は業界の主要プレーヤーとなっている。SIM BABYは、組み込みアルゴリズムとエッジAIを利用し、データの伝送とコンピューティングにクラウドを使わないという独自の優位性がある。これによってユーザーの信頼を獲得し、ブランドの信用を高めていく自信がある」と語った。

さらにSIM BABYはコスト面でも優位性がある。大手チップメーカーと提携して製品専用の組み込みチップを開発することでコストを抑えているため、製品は高い粗利率を保つことができる。

現在、SIM BABYは大手ECサイトの「天猫(Tmall)」と「京東(JD.com)」で販売されており、オンラインとオフラインの両面からPRを進めている。オフラインでは産婦人科医院グループ「和睦家(United Family)」や早期教育機関「NYC」などと提携してPRを行うほか、オンラインではソーシャルEC「小紅書(RED)」、大手SNS「微博(Weibo)」、ショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外では「TikTok」)」などに広告を掲載している。

張CEOによると、現在市場ではAI製品と国産ブランドの認知度が高まっており、SIM BABYもこの恩恵を受け、販売状況は予想を上回っている。昨年6月にECサイトで大規模な販売促進を行った結果、6月には月間400台だった販売台数が、11月に開催されたECセール「双11(ダブルイレブン)」の期間中に5000台にまで増加した。

張CEOは、2021年の月間販売台数の目標は1万台以上だと明らかにしている。将来的には子どもの生活全般に関連するビックデータを活用し、育児シーン全体をカバーする商品マトリックスの構築を目指すという。2021年1月には乳児の行動を記録するスマートベビーガードや、乳児の食事状況を記録するスマートベビーチェアなどの新製品を発売する。

アマゾンのデータによると、ベビーモニターの普及率は米国では20~30%だが、中国では1%未満となっている。これは乳児を別室で寝かせず親がいつも近くにいるという中国の伝統的な習慣が影響している。

しかし中国でもミドルクラスの人口が増えるにつれ、親は仕事と家庭を両立させる必要に迫られ、育児の負担が大きくなっている。彼らは高い安全性と付加価値を持つ製品には出費を惜しまない。このような背景から、AI搭載の乳幼児見守りデバイスは市場において大きな成長余地があると言えるだろう。(翻訳・普洱)


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