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電子機器受託製造大手「フォックスコン(Foxconn Technology Group、富士康科技集団)」の自動車分野に関する重要ニュースが、ここ1カ月ほど各メディアで頻繁に取り上げられている。事業の大半を停止している新興電気自動車(EV)メーカー「バイトン(BYTON)」への出資や、自動車大手「吉利汽車集団(Geely Automobile)」との折半出資で合弁会社を設立し「世界の自動車メーカーやモビリティ関連企業に受託製造とカスタマイズ顧問サービスを提供する」としたことを発表した。
それに続いて、新興EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」の前代表取締役副社長である鄭顕総氏がフォックスコンの親会社「鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)」(以下、ホンハイ)に移り、EV部門の最高経営責任者(CEO)に就任したことも明らかになった。この他、吉利と米新興EVメーカー「ファラデー・フューチャー(Faraday Future)」との提携に関する公式発表でも、フォックスコンの影が見え隠れした。フォックスコンのこれら数々の動きは、米アップルに対してのアピールだとする業界関係者もいる。
フォックスコンのクルマづくりは2005年にスタートした。当時、フォックスコンは台湾の四大自動車ワイヤーハーネス工場の一つ「安泰電業(MarkLines)」を買収し、ブースターケーブルやバックセンサー、スマートデバイスなど車載電子製品の製造からスタートしている。
台湾の北極星研究院の梁国元院長は以前メディア取材を受けた際、フォックスコンはスマートフォン事業の利益率がさほど高くないため、付加価値がより高い事業への参入を望んでおり、その理想的な候補がEV分野であったとの見解を示していた。
フォックスコンにしてみれば、アップルのクルマづくりは絶好のチャンスであった。
アップル新製品に関する予測で知られる「天風国際証券(TF International Securities)」のアナリスト、クオ・ミンチー(郭明錤)氏は、アップルは既存の自動車メーカーに部品製造と組み立てをアウトソーシングし、アップル自身は自動運転や電池技術、設計などに特化するとの見方を示している。
新エネルギー自動車市場において、フォックスコンは受託製造にとどまらず、より大きな野望を抱いているように見える。
EV分野のアンドロイドを目指す
2020年、新エネルギー自動車市場は大きく成長した。
テスラ、NIO、「理想汽車(Li Auto)」、「小鵬汽車(Xpeng Motors)」は販売台数大きく伸ばし、純利益がプラスに転じている。資本市場では、株価を大きく上げた企業も多く、2020年の伸び率はいずれも100%超えとなった。中でも、NIOの伸び率は1200%、テスラは400%を記録している。
新エネルギー自動車市場の急成長の流れに乗り、産業用ネットワークの普及を担う「浪潮(Inspur)」やアップル、グーグル、百度(バイドゥ)、アリババなどメガテック企業も次々とクルマづくりに参入している。
ガソリン車時代には、生産・製造の段階が各自動車メーカーの競争の中心となっていた。しかしEVが台頭すると、競争の中心は技術と完成車自体へと移っていった。
この時代の流れはフォックスコンにとっては新たなチャンスとなった。昨年10月中旬に開催したイベントで、フォックスコンは野心みなぎるEV計画を発表し、向こう5年間の具体的な目標として市場シェア10%の獲得を掲げた。ホンハイグループの董事長である劉揚偉氏が、2025年から27年にかけて世界のEV市場規模は3000万台になるとの見通しを示したとなれば、27年までに世界のEVのうち300万台がフォックスコンの受託製造によるものになる。
とはいえ、フォックスコンの「クルマづくり計画」では受託製造だけでは不十分である。劉揚偉氏が描く自動車分野におけるフォックスコンのビジョンは、「EV分野のアンドロイドになる」ことだ。
劉氏は昨年、テスラがEV分野のiPhone的存在ならば、フォックスコンはアンドロイド的存在を目指したいとの考えを示している。
この壮大な計画において、フォックスコンはEVのハードウエアに関するオープンプラットフォーム「MIH連盟」を通じ、業界にオープンなシャーシに関するプラットフォームを提供し、まったく新しいEV産業向けのサプライチェーンを構築するとしている。
今年2月6日に伝えられた最新情報によると、MIH連盟にはすでに約635社のメーカーからの反応があり、その中には国際的な大企業も多数含まれているという。1月末にはEV開発者向けキット「EV Kit」がリリースされ、2月から世界の開発者に向け予約が始まり、4月末には納品される見通しだ。
後編:クルマづくりの冬眠期&受託製造のトップ企業であるがための焦り
(翻訳:lumu)
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