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2020年に世界的にヒットした中国発のオンラインゲーム「原神(Genshin)」は、収益も上々の模様だ。米アプリ調査会社SensorTowerが発表した最新のデータ「海外市場における中国発スマートフォンゲームの売上高TOP30」によると、「miHoYo(米哈游網絡科技)」のオープンワールド型アクションRPG「原神」は今年1月、海外アプリストア(Google PlayとApp Store)からの売上高が1億1400万ドル(約120億円)となり、4カ月連続して首位を維持した。
昨年9月にリリースされて以来、原神の大ヒットと売り上げは見過ごせないものとなっている。SensorTowerの売上高ランキングによると、原神はリリース2カ月で4億ドル(約420億円)、1日当たり600万ドル(約6億4000万円)を稼ぎ出している。一時は「PUBG Mobile」を上回り、首位の「Honor of Kings(王者栄耀)」に迫る勢いだった。両者とも王者テンセントの大ヒットタイトルだ。
原神の成功は中国国内のファンによる貢献にとどまらず、海外各国、とくに日本と米国のファンの後押しによるものだ。SensorTowerによると、原神の売上高は国別で中国が40%、日本が27%、米国が13%を占めている。
またたく間に世界現象となった原神とは、いったいどのようなゲームなのだろうか?
オタク学生が立ち上げた新興ゲーム会社
原神を世に送り出したのは中国の新興ゲーム開発・運営会社miHoYoだ。AGC(アニメ、漫画、ゲーム)オタクの3人の大学生が2012年に上海で設立した企業で、2012年から2016年にかけて「崩壊学園」「崩壊学園2」「崩壊3rd」をリリースし、昨年7月に「未定事件簿」、9月に「原神」をリリースしている。ゲーム以外にもアニメや漫画、小説などのコンテンツも手がける。
原神は幻想世界の「テイワット」を舞台に繰り広げられる。テイワットには7つの国が存在し、それぞれに性格や能力の異なる仲間に出会いながら、生き別れた主人公の双子の兄妹を探すという設定だ。
任天堂のアクションアドベンチャーゲーム「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」に酷似しているとの批評も受け続けてきた。ゲームキャラクターの炎上騒動にも見舞われたものの、全体的には佳作といっていいだろう。製作や運営にあたり、miHoYoは資金もエネルギーも惜しみなく注いできた。
原神の成功は一夜にして成らず
グラフィックの美しさやストーリー構成もさることながら、はじめから世界展開を目指した作品として、原神には随所に工夫がみられる。
アフレコにしても、どの国のユーザーがプレイしても違和感のないよう現地感覚が取り入れられており、作中に登場する7つの国はそれぞれ、中国、西欧、日本、ロシアなどさまざまな国のイメージが用いられている。
ストーリーは現実とリンクするようなモチーフもあり、新型コロナウィルスの蔓延を想起させる出来事なども起こる。
優れたプロダクトにはマーケティング戦略も重要だ。ゲーム専門のオンラインマガジン「Game World Observer」によると、miHoYoは国ごとに異なる広告展開を行っており、グーグルの広告サービスGoogle Adsと「中国版ニコ動」ビリビリ動画(bilibili)をグローバル広告の主要チャネルとしている。
原神の成功は、異なるセグメントに属するユーザーに向けて「刺さる」戦略を使い分けていることと大きく関係するだろう。積極的に課金するコアなユーザーに対しては、場面やストーリーの設定、キャラクターの特徴や技能をより強調した。また、課金に積極的な海外ユーザーはゲーム機でのプレイを好むという特性を考慮し、モバイルアプリやPC以外に「Play Station 4」にも対応するマルチプラットフォーム展開を行った。
任天堂やテンセント、ネットイースなどの大手が依然として君臨するゲーム界で、頭一つ抜きん出るのは容易ではない。原神の成功は多くのゲーム企業に希望をもたらしたことだろう。
(翻訳・愛玉)
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