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中古ブランド品の取引が世界中で盛り上がりを見せている。
ソフトバンクグループは9月、中古ブランド品販売サイトを運営する仏「ヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)」の資金調達に参加。今回の調達で同社の評価額は17億ドル(約1930億円)となった。
中古ブランド品の取引額も急増している。スニーカーなどの取引サイトを運営する米「StockX」は、高級アクセサリーブランド「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」の中古品取引額が今年1月1日から6月30日までの半年間で22倍に増加したことを明らかにした。
中国でも同様のことが起こっている。米大手コンサルティング企業「ボストンコンサルティンググループ(BCG)」が発表したリポートによると、高級腕時計やジュエリーなどの中古品の世界的な市場規模は210億ユーロ(約2兆7600億円)相当であり、中国市場は世界3位の規模だという。
中古ブランド品市場が活況を呈する中、偽物をつかまされるのではないかという消費者の不安も高まっている。ある調査では、70%以上の消費者が「偽物を購入してしまうのではないかという不安」を中古ブランド品の購入をためらう主な原因に挙げた。
また、ブランド品の鑑定を手掛ける「優奢易拍(usheyipai.com)」が発表したレポートによると、2017年以降に同社が鑑定した商品のうち、正規品は3割強にすぎず、その割合は年々低くなっているという。
アナリストは「専門性のある鑑定士の不足」が原因だと分析する。この状況を受け、AIなどの新技術を利用した鑑定が台頭し始めた。
AIが切り札に
「紅布林(PLUM)」や「只二(Zhier)」「包大師(MASTER BAO)」など中国国内の中古ブランド品販売プラットフォームは、それぞれ専門の鑑定チームを持っている。
しかし消費者にとってみれば、人間が行う鑑定には鑑定そのもの以外にも色々な問題がある。例えば、鑑定のために商品を送付するのが面倒だったり、鑑定時間が長かったり、一部のブランドに対応していなかったり、鑑定行為そのものに不信感があったり、などだ。
偽ブランド品もますます精度が上がっており、鑑定士がこれまでに見たこともないケースに遭遇するなど、以前の経験が全く生かせないこともあるという。そこでテクノロジーの出番となった。
高級ブランドとして知られる仏「カルティエ(Cartier)」と伊「プラダ(PRADA)」は今年4月、仏LVMHの展開するブロックチェーンコンソーシアム「オーラ(Aura)」に参加。ブロックチェーン技術を利用して購入者が取引記録を追跡し、商品の真贋を確かめられるようになった。
中国でも鑑定プロセスにAI技術が利用されている。例えば、中国最大のフリマアプリ「閑魚(Xianyu)」は今年、AI鑑定プラットフォーム「図霊鑑定(TURING AI)」(旧称、包小鑑)と提携し、サービスの利用を開始した。
図霊鑑定は、ブランド品の真贋を判定するために100テラバイト超のデータベースを構築。案内に従って実物の写真をアップロードすれば、すぐに鑑定結果が出るという。すでにブロックチェーンやトレーサビリティなどに関連する10余りの特許を取得している。
AI鑑定の正確さには目を見張るものがある。図霊鑑定の担当者によると、同社がオンラインで行うAI鑑定の精度は99%に達するという。AIと人の目によるWチェックを採用すれば、鑑定の精度は限りなく100%に近づくだろう。
図霊鑑定は、閑魚の他にも輸出入貨物の検査を行う「中国検験認証集団(CICC)」、高級品ECサイト「寺庫(SECOO)」、ブランド品取引プラットフォーム「心上(xinshang)」などと提携し、サービスを提供している。
AI技術を利用した鑑定は他の業界にも広がっている。
図霊鑑定の担当者は、同社のAI鑑定にはまだ大きな発展の余地があるとした上で「現時点ですでに、高級ブランドのバッグ類だけでなく化粧品からスニーカー、デザイナーズトイ、酒類まで、日常生活で目にする物の大半の鑑定が可能だ」と説明した。
一方、調査会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」の張毅CEOは「AI鑑定の識別能力やマッチング能力にはまだ弱点もある。まずAIを使って鑑定を行い、不足している部分を人の目で補う方法が有効的だ」との見方を示した。
(翻訳・山口幸子)
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