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企業のコスト削減と費用対効果向上のニーズが増大するにれて、HR(ヒューマン・リソース)業界が急速に発展している。2017年のHR業界の総売上高は1兆4000億元(約22兆円)、成長率は20%に上った。しかし、HRサービスの普及度はまだ低い。現在、HRサービスがカバーしているのは全国7億7000万人超の就業人口のうちわずか2000万~3000万人とされており、膨大な数の中小企業、自営業者、フリーランスからなる巨大な潜在市場が存在している。
HRサービスを提供するクラウドプラットフォーム「人力家(renlijia.com)」がフォーカスしたのは、4300万社の中小企業だ。
人力家は、HRプラットフォーム「人力窩(WoWooHR)」と法人向けグループコラボアプリ「釘釘(Ding Talk)」が共同出資して設立された。人力窩が「支付宝(アリペイ)」を入り口として零細企業やフリーランス向けにサービスを提供するのに対し、人力家は釘釘を基盤として中小企業向けにワンストップ型HR SaaSサービスを提供する。
人力家は、まず複雑な社会保険の管理サービスにアプローチした。「智能社保」は、人事コストを削減しつつ、コンプライアンス違反のリスクを減らせるアプリケーション。「智能報酬」は、中小企業の基本的なニーズを満たす給与計算アプリケーションだ。釘釘の名簿や勤怠データに接続して自社の規程と業績を入れれば、簡単に給与計算ができるだけでなく、所得税の控除額を算出したり給与明細を一括送信したりできる。
中小企業向けのHRサービスの市場が今も未開拓なのは、顧客獲得やサービスのコストが高いこと、顧客のライフサイクルが短いこと、顧客の支払能力と支払意欲が低いこと、などの理由があるからだ。こうした問題に対して、人力家は以下のような解決策を打ち出した。
1)コスト・コントロール
法人向け業務で強力な基盤を持つ釘釘と協力して、効率良く顧客を獲得し、コストを削減する。また商品を最適化し、中小企業向けの管理運営モデルを提供することで、ライフサイクルを延ばし、さらなるコスト削減につなげる。コストがかさみがちなオフライン業務については、株主であるFESCOやAdeccoのリソースも活用する。
2)商品のカスタマイズ
創業者でCEOの馬西亜氏によると、満足できる使用体験を提供すれば、法人顧客にオンライン管理の概念を理解してもらうのは難しくないという。多様な組織管理に対応できるようきめ細かなカスタマイズを行うことで、顧客の定着を図り、有料サービスへとつなげる。
3)有料付加価値サービス
多くの中小企業にとって受け入れやすい、「製品は無料、付加的サービスは有料」というモデルを採用する。
今後、人力家は釘釘の「公式アプリ」という位置づけで、同社との連携を一層強化していく。また査定や経歴調査、給与計算、福利、職業訓練などのサービス事業者と緊密に連携し、釘釘のエコシステムに基づいてHRサービスのシステムを構築し、中小企業にシームレスな利用体験を提供することを目指す。
人力家と人力窩が、それぞれ独自の道を行くというわけでもなさそうだ。求人や従業員向け金融サービスなどでは企業の枠を越え、支付宝と釘釘を入り口として、さらに大きなビジネスチャンスを作り出す可能性もある。
(翻訳・畠中裕子)
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