中国新興企業、ソリッドステート式LiDARの低価格化に挑む 半導体チップも自社開発

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中国新興企業、ソリッドステート式LiDARの低価格化に挑む 半導体チップも自社開発

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ソリッドステート式LiDAR(レーザーレーダー)を開発する「洛微科技(LuminWave)」が、シリーズBで数億元(数十億円)を調達した。主な出資者は、半導体産業への投資を手掛ける「安芯投資(An Xin Capital)」。

洛微科技は2018年に設立され、シリコンフォトニクスとオプトエレクトロニクスを活用した半導体チップを自社開発し、ソリッドステート式LiDARに応用。自動運転企業などに向けたソリューションを提供している。

フランスの半導体産業調査会社「Yole Developpement」は、20年はLiDARの世界出荷個数が約34万個だったが、25年には約470万個、30年には約2390万個へと急速に伸びると予測している。

自動運転分野に活用される車載センサーはさまざまだが、カメラとLiDARのいずれが優れているかについては議論が続いている。米電気自動車(EV)大手テスラが一貫してカメラを採用する一方、中国の新興EVメーカー各社はLiDARを採用してきた。カメラは、価格は安いものの精度・視野・安定性に限界がある。一方、LiDARは精度は高いが価格も高い。

しかし、LiDARの技術が進歩するのに伴い、その価格も下がっている。初期の機械式LiDARの価格は10万ドル(約1200万円)と高額な上、設置が難しく部品の寿命が短いという欠点もあり、量産車への大規模な応用は困難だった。その後開発されたソリッドステート式LiDARには、MEMS(微小電子機械システム)方式や小型のミラーを回転させる方式があり、価格は1万ドル(約120万円)以下に抑えられている。光フェーズドアレイ方式やフラッシュ方式などの完全ソリッドステート式LiDARは、性能が向上したにもかかわらず、価格は約100ドル(約1万2000円)とさらに低価格化している。

22年に中国で製造が予定されているLiDAR搭載車種については、大部分が機械式からMEMS式に切り替わっている。完全ソリッドステート式に移行するのも時間の問題だとみられる。

洛微科技は、光フェーズドアレイやFMCW(周波数変調連続波)センサーなどの技術を応用し、完全ソリッドステート式の広視野角LiDAR「Dシリーズ(Diversity Series)」と、長距離測定が可能な4D-LiDAR「Fシリーズ(Foresight Series)」を開発した。

Dシリーズは、主に運転支援機能搭載のバックミラーやライトなどに用いられ、広視野角・高解像度・高信頼度・省エネ・干渉防止といった強みがある。21年3月に発売され、すでに提携企業向けの量産を開始している。

Fシリーズは、シリコンフォトニクスを用いたFMCWセンサーなどの技術を応用している。高解像度・高信頼度・省エネであることはもちろん、三次元の空間情報に瞬間速度を加えた「四次元(4D)」の点群データが取得できる。測定可能距離は200メートルを超える。発売は22年上半期を予定している。

洛微科技の馮寧寧・最高経営責任者(CEO)によると、同社のLiDARは半導体チップの製造コストを抑えることで、低価格化を実現している。また、半導体チップのテープアウト(設計完了)やパッケージングなどを標準化しているため、製品のアップデートにも迅速に対応できるという。

(翻訳・田村広子)

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