中国EV「AION」、電池の膨張・液漏れ相次ぐ 供給元CALBに試練

中国自動車大手、広州汽車集団(GAC)傘下の新エネルギー車(NEV)ブランド「広汽埃安新能源汽車(GAC AION)」と、車載電池大手「中創新航(CALB)」を巡る電池の品質問題が長期化している。

2026年に入り、中創新航製の177Ahリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池セルを搭載したGAC AIONの「AION S」シリーズの一部で、電池の膨張や液漏れ、絶縁不良、走行中に突然動かなくなるなどの不具合が相次いで報告されている。主に営業用(ネット配車サービス)として使われている車両で、当該電池は約21万台に搭載されているとされる。なお、不具合が発生した車両の走行距離は15万~30万キロに集中しているという。

AIONと中創新航は7月18日、相次いで対応を発表した。AIONは一部の営業用車両で電池の不具合が発生していることを認め、対象となる駆動用電池の保証期間を従来の「8年または15万キロ」から「8年または30万キロ」に延長した。一方、中創新航は「特定の使用条件下で電池システムに不具合が発生した」と説明している。その後、保証延長の対象はAION Sだけでなく、「AION V」「AION Y」の一部車種にも拡大された。

規制当局もすでに調査に動き出している。中国工業・情報化部(工信部)は7月24日、GAC AIONを対象に製品の安全管理体制や生産の適合性に関する監督検査を実施。車両や駆動用電池などのサンプルを抜き取り、検査機関に送付した。

ユーザーからリコールを求める声が上がっていることについて、AIONのアフターサービス責任者はこのほど、メーカーが独自にリコールを決定することはできないとした上で、すでに必要な申請手続きを開始したと説明した。現時点では、正式なリコールはまだ発表されていない。

猛暑で沈む高級MPV 中国・小鵬EV、3万台超の公式リコールへ

今後、電池そのものの品質に問題があると認定された場合、中創新航には修理やリコール、補償などに伴う巨額の費用負担が生じる可能性がある。同社の2025年の売上高は前年比60%増の444億元(約1兆円)、親会社株主に帰属する純利益は14億7600万元(約340億円)だった。

さらに注目されるのが、中創新航の今後の受注や顧客関係に及ぶ影響だ。同社は中国を代表する車載電池メーカーの一つであり、GACのほか、長安汽車(Changan Automobile)、吉利汽車(Geely )、小鵬汽車(XPeng Motors)、零跑汽車(Leapmotor)など中国の主要自動車メーカーに電池を供給している。

駆動用電池はEVのなかでもコスト比率が高く、安全性が最も厳しく問われる中核部品だ。大規模な品質問題に発展すれば、電池交換やリコールなどの直接的な費用だけでなく、自動車メーカーによるサプライヤー評価や今後の新型車への採用、新規顧客の獲得にも影響が及ぶ可能性がある。

中国、モバイルバッテリーで大規模リコール騒動。地元メディアが暴いた「急速充電スペック」の裏側【人気記事再掲】

(36Kr Japan編集部)

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事