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中国新興電気自動車(EV)メーカー「蔚来汽車(NIO)」は、中価格帯の新ブランド「ALPS」の駆動用バッテリーを「中創新航(CALB)」、中国EV大手「比亜迪(BYD)」傘下の「弗迪電池(FinDreams Battery)」から仕入れるようだ。複数の情報筋が明らかにした。
消息筋の話では、NIOはさらに「億緯鋰能(EVE Energy)」、「蜂巣能源(SVOLT Energy )」などと接触しているという。これらの情報について36krはNIOに問い合わせたが、回答は得られなかった。
ALPSはミドルレンジのブランドで、価格は20~30万元(約400~600万円)、2024年に生産開始予定だ。NIOは平均価格が40万元(約800万円)以上でハイエンド車市場での足元を固めたが、市場規模が限定的であるためALPS、「蛍火虫(FY)」などの価格を抑えた新ブランドを立ち上げる。
駆動用バッテリーは新エネルギー車の総コストの40%程度を占めるが、上半期に原材料である炭酸リチウムの高騰後駆動用バッテリー価格も30%超上昇したため、新エネルギー車メーカーはバッテリーのコストに耐え切れなくなった。
自動車メーカーはコストをコントロールし価格交渉をより優位に進めるため、複数のバッテリーサプライヤーから仕入れるか自社でバッテリーを製造するようになった。NIOはこれまで中国のリチウムイオン電池最大手「CATL(寧徳時代)」からバッテリーを仕入れていたが、仕入れ先を増やすだけでなく自社生産の計画も打ち出している。李斌CEOは第1四半期のテレカンファレンスで、バッテリーを自社生産し2024年にALPSに搭載すると話している。
ただ、業界関係者はNIOのバッテリー生産規模は大きくはないだろうと話している。そうなると、NIOは主にバッテリーメーカーからの仕入れに頼ることになる。
中創新航とCATLとの間に昨年7月に特許訴訟が発生し、現在も続いている。NIOの中創新航との提携にリスクはないのだろうか。これについて業界関係者は、中創新航とCATLの争っている特許は初期のバッテリー製品に集中しており、ALPSが採用予定の中創新航の新しいソリューションなどは問題ないだろうとの見方を示している。
最大手CATLのパイを切り崩すため、他社は利益を犠牲にしてでも低価格戦略で自動車メーカーのサプライチェーンに食い込もうとしている。典型的な例は中創新航で、同社の目論見書によると2021年の粗利益率はわずか5.5%だった。一方、CATLは26.28%に達している。
低価格戦略は功を奏し、中創新航は新興EVメーカーのうち「小鵬汽車(XPeng Motors)」のほか、NIOのALPSのサプライチェーンにも食い込んだ。
三元系電池分野の「欣旺達(SUNWODA、サンオーダ)」はこのほど、バッテリー事業のスピンオフを実施した。各自動車メーカーから受けた出資状況からすると、同事業は駆動用バッテリー市場のダークホースとなり得る。
ある業界関係者は「自動車メーカーが駆動用バッテリーメーカーに求めるのは、製品の品質が安定していることと、自動車メーカーが必要な時に製品を提供できることだ」と話す。
CATLはセルの不良率を10億分の1レベル、バッテリーパックの不良率は100万分の1レベルを目指しており、生産能力も業界最大だ。低価格で自動車メーカーのニーズに応えても、競争で鍵を握るのは製品、技術、品質、製造だ。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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