水素で走る電動アシスト自転車、中国企業が発売 手軽なカートリッジ式で26万円

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中国でシェアサイクル事業などを展開するモビリティ企業「永安行科技(Youon)」が9月28日、水素燃料電池の電動アシスト自転車を発表した。一般消費者向けに量産する燃料電池自転車としては中国初となるもので、一般消費市場をターゲットに、低圧水素貯蔵・交換技術を採用してカーボンフリーに貢献する。この燃料電池自転車には5年間に水素カートリッジ500本のサービスが含まれており、販売価格は1万2800元(約26万円)。

永安行のエンジニアによると、同社初の消費者向け水素電池自転車「Alphaシリーズ」はGPSやIoT通信、データ収集・処理などコネクテッドカー技術を搭載しており、スマートセンシングやインタラクション、ビッグデータサービスなどの機能を実現できるという。

この自転車は、車両に内蔵した水素の電気化学反応により電気エネルギーを発生させ、直接モーターに給電する仕組みだ。リチウムイオン電池とは異なり、燃料電池は充電の必要がなく、固体水素貯蔵技術を採用しているため安全で環境にも優しい。車両重量は約27Kg、最高速度は時速22km、0.7リットルの水素カートリッジ1本で2時間半の連続走行が可能で、航続距離は55km。都市部で生活する市民にとって便利でカーボンフリーな移動手段となることが期待される。

燃料電池自転車の各車両には水素カートリッジが装備されている。消費者の利便性を高めるため、永安行の水素エネルギーデジタル運用プラットフォームが各車両の水素カートリッジのデータ追跡やデジタル管理を行っており、水素の残量が少なくなると、その情報が運用センターに送られ、保守担当者がすぐさまカートリッジ交換に向かう。発電機に使われている燃料電池は、製品寿命に達した後にリサイクルでき、リサイクル率は80%以上に達する。

「水素カートリッジの交換に要する時間はわずか10秒。私たちは1年以上にわたる燃料電池シェアサイクル市場での運用を通じて、水素カートリッジ交換サービスが安全で効率的であると同時に経済的で環境にも優しく、水素充填ステーション建設という難題を回避できると考えた」と燃料電池自転車プロジェクトの責任者は語る。今回発表した燃料電池自転車には5年間に2万6000kmまで水素供給無料サービスや、水素カートリッジ500本無料サービス、無料メンテナンスが付帯している。モデルチェンジの際には、下取りサービスやリサイクルサービスも提供する。

永安行の孫継勝董事長によると、この自転車は中国で初めての一般消費者向け燃料電池自転車であり、便利かつカーボンフリーな都市部の通勤の足となることを目指しているという。同時に「ダブルカーボン」目標や国家のエネルギー戦略の転換を実現する手段、また自転車の新たな発展の方向ともなっている。

同社は5年前から水素製造、水素貯蔵、燃料電池などに着手してきた。小出力燃料電池の生産ラインが昨年10月に稼働を始めており、生産能力は1ライン年産5万台で、今年10月にはフル稼働する予定。また年産20万台の小出力燃料電池の生産ラインの設置も進めている。

水素製造のコストについて孫董事長は、現在は水素の販売価格が1kgあたり50元(約1000円)にまで下がっていると話す。水素製造には太陽光発電で作られる電力を利用するため、太陽光発電のコストがコスト全体を左右するといい、「今後3年のうちに、1kgあたり35元(約700円)以下にまで下がるだろう」と語った。

永安行は燃料電池自転車のシェアサービスをすでに上海市と江蘇省常州市で展開している。より多くの燃料電池自転車ユーザーに水素充填や水素カートリッジ交換サービスを提供できるよう、今年8月には上海市に「永安行(上海)氫能科技有限公司」を設立した。同社は杭州市、南京市、蘇州市、上海市など周辺都市で水素エネルギー産業のサプライチェーンを積極的に構築し、長江デルタ地区の水素エネルギー産業全体の発展を後押ししている。
(翻訳・畠中裕子)

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