ニッチ用途の消費者向けARグラスが続々 競争激化する中国AR市場

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

ニッチ用途の消費者向けARグラスが続々 競争激化する中国AR市場

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

今秋は多くのAR(拡張現実)グラスの新製品が発売された。9月、10月の2カ月だけで「亮亮視野科技(LLVision Technology)」や「雷鳥創新(Thunderbird Innovation)」、「Rokid」、「影目科技(INMO)」による消費者向け新製品の成績が出揃っている。もともとARに特化するこれらのメーカーだけでなく、XR(クロスリアリティ)分野を幅広く手がける「李未可科技」も参戦したことで、消費者向けARグラス市場で激しい競争が繰り広げられている。

ARはコンテンツもハードウェア技術も成熟しているとは言えない。消費者向け製品を出すにはまだ早いように思えるが、それでもARの未来は明るいという。ある研究によると、消費者向けAR市場は2024年に大きく拡大し、25年には消費者向けARグラスの出荷台数が5000万台近くになるという。

こうしたなか、業界では静かに変化が起きている。

亮亮視野やRokidのように法人向け事業からスタートしたAR企業がこぞって消費者向け分野を探りはじめているのだ。

各社はそれぞれアウトドア用、映画用など特定の分野に絞って消費向け製品を打ち出している。

また、消費者向けARグラス「Rokid Air」の出荷台数が3万台を突破したRokidは、このほど全く新しい端末「Rokid Station」を発表した。グラスからコントローラーを独立させた端末で、定価は799元(約1万6000円)。ここにコンテンツエコシステム、アルゴリズムが集約されたため、ペアリングするグラスはよりすっきりとしたデザインにできる。

コントローラーをグラスと分けて使える設計のRokid Station(Rokidウェイボー公式サイトより)

しかしAR業界の厳しい現実を変えるのは容易ではない。米調査会社IDCによると、21年の世界のAR/VRデバイス出荷台数は1123万台で、そのうちARはわずか28万台。22年上半期も販売は振るわず、年間出荷台数は26万台と予想され、昨年よりも減少する見込みだ。

現状は法人向け、最終目的は消費者向け

市場の需要が明らかではなく、技術やコンテンツも未熟で、さらに研究開発のコストがかさむ状況で、危険を冒してまでいきなり消費者向けARデバイスの大量生産を始めるメーカーは少ない。多くがまず法人向け製品に着手するのは、技術を検証し、受注に結びつけ、消費者向け市場に参入するまで会社を存続させるためだ。

また、消費者向けARを手掛けるほぼ全てのメーカーは、市場が一気に拡大するチャンスをうかがっている。

TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)が昨年、VRデバイスメーカー「Pico(小鳥看看科技)」を買収した。アップルが来年にもプロフェッショナル向けMR(複合現実)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を、24年には消費者向けHMDを発売するとの噂も流れ、多くのメーカーはXR市場が爆発的に拡大するタイミングが訪れたと考えた。

多くのメーカーがアップルがHMDを発表する前に市場の一角に食い込みたいと考えており、雷鳥創新を創業した李宏偉氏は、アップルに先駆けて「革命的な製品」を発表したいと語った。

キラー級よりニッチ市場を

消費者はARデバイスの価格が予想よりも大幅に安いと感じているだろう。

Rokidのコントローラーとグラスのセット、亮亮視野の「聴語者」、雷鳥の「Air1S」の定価はいずれも5000元(約10万円)以下に抑えられ、VRデバイスやスマホの価格に近くなった。

ARデバイスの製造コストは極めて高いため、まずは低価格戦略で市場シェアを獲得し、その間にメーカーはサプライチェーンをブラッシュアップしてコスト圧縮を図る。

低価格は、製品の機能を取捨選択することを意味する。例えば、Rokidの新製品はコストの低い「Birdbath」という光学エンジンを採用している。ディスプレイで主流のウェーブガイド(導波管)技術に比べ画質が優れているものの、バーチャルとリアルの融合が難しいという弱点がある。

AR業界にとってさらに現実的な課題は技術力だ。ARの応用はリアルの環境に制限されることが多く、ディスプレイ、放熱、連続使用可能時間など技術面でもまだ完成されたソリューションがない。

キラーアプリが現れていない段階で、多くのARメーカーが消費者向け分野に手を出すパターンは2種類。ひとつは法人向け事業で会社を維持し、技術力を蓄えながら消費者向けに転換するチャンスを待つというやり方だ。

もうひとつは、より細分化された市場で製品の立ち位置を見つけることだ。影目科技やスマホ大手のOPPOでは情報表示分野、NrealやRokid、雷鳥は映像娯楽分野、さらに細かいところでは、「光粒科技(Guangli Technology)」は水泳用ゴーグル、李未可はアウトドア用、亮亮視野は聴覚障害者向けといった具合だ。

細分化された分野では、多くのメーカーが引き算方式をとる。機能を適切に間引いて用途をはっきりさせてから、価格と快適さという消費者の体験に最も影響する課題を解決する。

あとは、ひたすら市場の爆発を待ち続けるだけだ。VR業界のようにMetaやPicoなど大手メーカーが道筋をつけてくれれば、メーカーは次々に参入する。

しかし、市場がどこまで大きく広がったとしても、消費者がお金を払いたいと望むのは製品の性能に対してであって、メーカーが語る「消費者向け製品」のストーリーではない。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録