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O2Oサービス大手「美団点評(Meituan Dianping)」が昨年、中国最大手のシェア自転車サービス「モバイク(摩拜単車)」を買収し、創業メンバーの多くがモバイクを去った。
そのうちの1人、モバイクの共同創業者でハードウェア開発・製造担当副総裁だった徐洪軍氏が「洪記両輪(Hongji Bike)」を立ち上げた。江蘇省無錫市のモバイク自社工場に勤務していたハードウェア技術者のほとんども加わっている。
洪記両輪の設立は2017年11月。主に二輪タイプのスマートモビリティと電動アシストシステムの開発を手がける。本社は無錫市で、工場を常州市に構える。2018年にはエンジェルラウンドで1000万元(約1億6000万円)を超える資金を調達した。出資者は明らかにしておらず、調達した資金は生産ラインの拡大などに充てるとしていた。
同社の共同創業者でCOO兼CMOの王淼氏によると、事業は法人向けと個人向けに分かれる。法人向けとしては、国内外のシェアサイクル運営業者に電動アシスト自転車と電動キックボードを提供しているほか、国内の大手フードデリバリーサービス業者と共同で、原動機付車両の国内安全規格「新国標」に対応するデリバリー用電動バイクの開発を行っている。個人向けとしては、今年第3四半期に欧州市場で自社ブランドの電動アシスト自転車の販売を開始する予定。目標販売台数は10万台以上で、今後も米国や東南アジアなどの海外市場に進出するとしている。
自社ブランドの電動アシスト自転車を国内で販売しない理由について、王氏は国内の消費者は「より豪華な4輪自動車」には進んでお金を使うものの、電動アシスト自転車はやはりシェアリングが中心になるためと説明した。
王氏によると、2018年5月、米国のシェアリング大手が洪記両輪に対し、短期間かつ大量の電動キックボードのOEMを打診してきたという。同社は1ヶ月強で電動キックボード4万台の設計から生産、輸出までやってのけた。それを可能にしたのは、同社の社員がかつてモバイクで積み重ねた1千万台規模のスピード生産の経験だ。モバイクは「単月でシェア用バイク70万台を生産」という業界記録を生み出しており、こうした経験が同社に受け継がれている。
しかし、シェア用キックボードを手がけるのは洪記両輪だけでない。パーソナルモビリティを手がける「Segway-Ninebot(賽格威-納恩博)」が科創板への上場申請時に提出した目論見書によると、同社は電動キックボードのシェアリング事業を展開する米「Bird」、米「Lime」、ライドシェアの米ウーバー、米リフトなど向けにODM方式で電動キックボードを生産している。
王氏は、競合他社に対する洪記両輪の優位性として、製品のラインナップが豊富なことを挙げた。また、独自開発、短期間での生産量拡大、スピーディーな生産などの能力に加え、同社は車両のライフサイクル管理の面から後に発生する可能性がある問題に目を配り、開発段階で解消することで、メンテナンスコストと全体的な利用コストを引き下げていることも強調した。
「3年前に発売された様々なシェア自転車のうち、今でも街で見かけ、使えているのはモバイクの初代シャフトドライブ駆動タイプ『Classic』だけだ」王氏はこのように述べ、洪記両輪はシングルアーム型シャフトドライブシステムに関する特許を発明者、所有者として保有していることを明かした。
同社の電動アシスト自転車と電動キックボードの2018年の販売台数は数万台だったが、今年は十数万台になる予定。また、同社は一貫してキャッシュフローがプラスであり、現在はシリーズAでの資金調達を検討しているところだという。
洪記両輪の創業者兼CEOの徐洪軍氏は、かつてモバイクで初代「Classic」開発の陣頭指揮を執った。2輪タイプのモビリティツールの開発・設計分野で20年以上の経験を持つ。創業メンバーは他に4人おり、前出の王氏はメルセデス・ベンツ中国の高級経理、ドイツ本社内研究開発センターの首席代表を務め、経営コンサルタントとしてのキャリアは10年近い。王超氏は新エネルギー自動車メーカー「開雲汽車(Kaiyun Mortors)」の創業者兼董事長。范烽氏は「阿爾特汽車技術(IAT Automobile Technology)」と一汽フォルクスワーゲンでメインデザイナーを務め、複数の世界的デザイン賞を受賞している。呉俊氏は元モバイク無錫工場総経理で、機動車の構造と駆動システム分野で十数年の開発経験がある。
(翻訳・池田晃子)
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