7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
中国では製造業の急成長や産業アップグレードに伴い、サプライチェーン建設の重要性が高まっている。ハイエンド製造業の重要な原料であるハイエンドポリマー材料は、一部が長らく海外企業の寡占状態にあり、国産品による代替の必要性がいっそう高まっている。
例えば、光学レンズの製造に必要な樹脂材料・環状オレフィンコポリマー(COC)は完全に輸入に依存しており、日本の大手数社が市場を占有している。レンズ製造に関わるコア技術が進歩しても、このCOCが中国の光学レンズ産業のネックになってきた。
中国化学工業情報センターによると、2021年に中国で消費されたCOC・COP(環状オレフィンポリマー)は約2万1000トン。中国は、毎年世界で生産される8万3000トンのうち4分の1を消費する最大の市場だが、この全てを輸入に頼っている。これらの材料を生産するのは主に日本ゼオン、ポリプラスチックス、JSR、三井化学といった日本企業だ。なかでも日本ゼオンは2021年に生産能力を年産4万1600トンにまで引き上げ、世界の生産能力の半分を占めている。
貿易摩擦に対する懸念が高まるなか、輸入材料への過度の依存は国内産業の発展を阻むことになりかねない。
ハイエンド光学材料の安全なサプライチェーンを確保するため、ハイエンドポリマー材料を研究する「拓烯科技(TopOlefin Technology)」がこの分野の技術的空白を埋めつつある。モノマー合成、高性能触媒システム、重合プロセス、特許という4つのボトルネックを打ち破った中国で唯一の企業だ。
拓烯科技は2020年にエンジェルラウンドで資金調達した後、21年後半に戦略出資を獲得した。22年3月にはシリーズAで弘暉基金(Highlight Capital)と博遠資本(BioTrack Capital)から数億元(数十億~百数十億円)を調達している。
拓烯科技は主にCOC、光学用PC(ポリカーボネート共重合体)、高機能光学薄膜材料の3種類を手がけており、いずれも産業化が始まっている。中でも主力のCOCと光学用PCは、消費者向け電子機器の光学レンズの主原料として使用される。
COCは優れた光学特性を持つ熱可塑性樹脂で、ガラス転移温度135度以上、光透過率が90%以上、屈折率が高く、複屈折率や熱変形性、吸水性は低く、加工しやすいなどの特徴を持つ。光学レンズの分野で幅広く使用されている。
さらにCOCを使った医療用グレードの製品はガラスよりも割れにくく、可塑性にも優れているため、特殊な構造を持つ医療機器のオーダーメードが可能。医療分野での活用としてはバイアル、プレフィルドシリンジ、インスリン注入器、医薬品のパッケージなどがある。防湿性に優れ、一般的な滅菌方法や紫外線処理にも対応している。
光学用PCは光学性能に優れた熱可塑性エンジニアリングプラスチックで、光透過率は約90%、屈折率も1.65以上に達する。ガラス転移温度は150度以上で、−100~140度の範囲で使用できる。優れた耐衝撃性、耐クリープ性、寸法安定性を持つほか、柔軟性と強靱性を備えている。
現在、拓烯科技は光学用途や医療分野で業界大手企業との業務提携を進めている。材料に対する企業の細かなニーズへの対応、導入プロセス全般、製品の製造や納品、試験、評価に至るまで、それぞれ専門チームを設けて、企業のあらゆる技術的な課題の解決をサポートする。
今後は新製品の研究開発を推し進め、スマートフォンや監視カメラなどに加えて、AR・VR機器のレンズ、車載カメラなどの自動車用精密光学部品、表示パネルなどの分野を開拓していく考えだ。また医療分野でもハイエンド包装材のほかに、バイオ医薬品用フィルム材料や消費財包装材などの開発も進めていくという。
(翻訳・畠中裕子)
7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録