IoTで変わる中国のスマートビルディング、「単体製品からホーム全体」へ進化

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IoTで変わる中国のスマートビルディング、「単体製品からホーム全体」へ進化

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スマートビルディング関連のサービスを提供する中国スタートアップ企業の「聯恒智控科技」が、エンジェルラウンドで合計5000万元(約9億8700万円)を調達した。スマートフォン・IoT機器大手シャオミ(Xiaomi)の創業者が設立した順為資本(Shunwei Capital)が出資を主導し、雲沐資本(YM Capital)も参加した。

スマートビルディングやスマートホームは典型的なIoT(モノのインターネット)の活用分野で、近年成長が著しい。中国の市場調査会社・iResearchのデータによると2016〜20年、中国のスマートホームの市場規模は2608億5000万元(約5兆1500億円)から5144億7000万元(約10兆1600億円)へと年平均成長率18.51%で推移している。中国の調査会社・中商産業研究院(ASKCI Consulting)の予想では、22年の中国のスマートホーム市場は6515億6000万元(約12兆8700億円)に達する。モバイル端末の普及やIoTの推進でスマートホームの成長も加速しており、市場成長のポテンシャルは巨大なものになっている。

スマートホーム市場はすでに黎明期を過ぎ成長段階に入った。具体的な商業化の側面を見ると、過去数年はセンサーやスマートスピーカーなど製品単体がメインだったが、現在は関連製品が徐々に出揃い、ユーザーの需要も「ホーム全体をスマート化したい」という方向に変わってきた。商業化の場面でも居住空間から建築物全体へとターゲットがより幅広くなっている。聯恒智控科技はまさにこうしたチャンスを掴むために設立された。

創業者の王志敏氏は連続起業家で、ビルディングオートメーション(BA)やスマートビルディングなどの分野で豊富なキャリアを築いてきた。同氏によると、住宅全体をスマート化させるための基盤技術はすでに成熟し、供給側では業界を爆発的に拡大させる条件が揃っており、需要は不動産、ホテル、政府・企業オフィスなどあらゆる業界に眠っているという。スマートホームの中国国内での浸透率は10%程度に留まっているが、住宅全体をターゲットにしたものに限れば浸透率はさらに低く、成長の可能性は限りなく大きい。

スマートビルディング産業のサプライチェーンは川上が部品と中核技術のサプライヤー、中間が製品メーカーやシステムインテグレーター、川下が販売業者となる。聯恒智控科技の役割はその大部分を1社でカバーするもので、自社製品とサードパーティー製品を一つのシステムソリューションとしてまとめあげ、スマートビルディングを必要とする企業に対して「スマートデバイス+アプリケーションソフト+運営サービス」のワンストップサービスを提供している。

スマートビルディングを導入する業界の一つが不動産だ。過去数年にわたって各社が大々的に開発を進めた結果、分譲住宅が供給過剰になる一方で、買い手はより住み心地のいい良質物件の購入を望む。不動産業者としてはスマートホームやBAを付加価値にして販売効率や利益率を上げようと考える。

具体的な導入シーンでは、建物の施工は内装前と内装後に分けられるが、聯恒智控科技は内装前の段階を手がけている。顧客企業に替わって製品を直接現場に納め、取り付けを行い、アフターサービスまで担当する。内装工事前にコアデバイスの設置作業を行うことで、音響・映像機器や掃除機などあらゆる家電を連携させ、ユーザーがそれらを一括して操作・管理できるようになっている。

同社の製品は現在市場に流通する主なスマートホームプラットフォームと連携可能だ。シャオミのIoT家電ブランド「米家(MIJIA)」やシャオミのエコシステム企業の製品に自社ブランドの製品を合わせて、100以上のSKU(品目を数える最小単位)を展開している。

製品のライフサイクル全体をカバーするサービスではサービス力が試される。王氏によると聯恒智控科技は昨年末までに中国全土の1線・2線都市すべてを網羅する販路とサービスネットワークを敷いており、向こう3年で全国の都市の80%にまで拡張させる計画だ。

商用化の進み具合に関しては、昨年の売上高が数千万元(数億〜十数億円)、受注済みの案件が約1億元(約19億8000万円)になっているという。王氏は今後の展望について、今年は引き続き製品ラインナップを拡充し、自社のサプライチェーン構築を進めていく予定だと語った。市場開拓も加速させ、全国のインテグレーターやチャネルパートナーを取り込んでいく計画だ。

(翻訳・山下にか)

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