7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
監視カメラ大手ハイクビジョン(海康威視)傘下の「HIKROBOT(海康機器人)」が3月7日、深圳証券取引所の新興企業向け市場「創業板」へ目論見書を提出した。60億元(約1140億円)を調達予定だ。
HIKROBOTは2016年設立。主な事業はマシンビジョンと自律走行搬送ロボット(AMR)の設計開発、生産販売、付加価値サービスの提供で産業用IoT、スマート物流、スマート製造に照準を合わせている。また、同社はハイクビジョンの主要事業からは独立性を保っている。
目論見書からはHIKROBOTの売上高、利益ともに好調だとわかる。2019年~21年通期および22年1~9月期の売上高はそれぞれ9億4100万元(約180億円)、15億2500万元(約290億円)、27億6800万元(約525億円)、28億1000万元(約530億円)で純利益は4547万8600元(約8億6400万円)、6509万6400元(約12億3600万円)、4億8200万元(約91億円)、4億2800万元(約81億円)だった。収益力は急成長しているが営業活動によるキャッシュフローは長期にわたってマイナスだ。19年は1億3800万元(約26億円)、21年は同3億2500万元(約61億円)、22年1~9月期は同3億9800万元(約75億円)のマイナスであり、20年以外は赤字だった。
同社の売上高構成を見ると、マシンビジョンとAMRの2大事業が90%を占めており、そのうちマシンビジョンは60%以上だ。HIKROBOTは親会社であるハイクビジョンのソフト・ハードウェア技術を利用して、市場をいち早く手中に収めることができた。マシンビジョンは産業用センサーの中核をなし、ロボットと自動化設備の「目」でもある。現在は物流の仕分け場面での利用が最も多く、HIKROBOTの大口顧客は大部分が物流企業だ。
市場開拓に関して親会社ハイクビジョンの力を借りることができるHIKROBOTは大部分のスタートアップ企業に恐れられる存在だ。低価格戦略で代表的案件を受注し、成長が最も速いジャンルを独占していく。
産業用AMRを手掛けるある企業の創業者によると、2020年に出会った競合製品のうち70~80%がHIKROBOTのものだったという。HIKROBOT製品の見積価格は市場平均価格の半分だったという。
目論見書によると、HIKROBOTの主要製品は20年に大幅値下げされている。AMRの平均価格は前年比16.38%減の1台当たり6万6000元(約125万円)、マシンビジョン製品は同6.29%減で1台当たり1452元(約2万7600円)だ。
低価格でも同社は44%以上の粗利益を確保しており、成熟したサプライチェーンを握っているからこその強みが見て取れる。2019年~21年通期および22年の1~9月期の粗利率はそれぞれ53.85%、44.55%、44.28%、44.18%だった。
HIKROBOTの顧客上位5位のうち、ハイクビジョンとその関係企業を除くと宅配大手「圓通速逓(YTO Express)」と中国国営の「中国郵政(China Post)」が合計1億3000万元(約25億円)で20年の売上高の8.84%以上を占めている。このほかインドネシアの宅配大手で中国にも進出している「J&T Express(極兎速逓)」は主にマシンビジョンを購入しており、21年、22年の1~9月期には、それぞれ9851万元(約18億7000万円)、4964万元(約9億4300万円)の取引が確認できる。東南アジア発のJ&T Expressは20年3月に中国進出を発表してから低価格や地方市場へ重点を置くなどの戦略で瞬く間に10%の市場シェアを獲得している。
親会社ハイクビジョンからスピンオフし、スマートホームを手掛ける「蛍石網絡(EZVIZ)」は一足早く22年12月末に上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スター・マーケット)」に上場しており、時価総額は195億元(約3700億円)を超える(原稿執筆時点)。HIKROBOTは蛍石網絡に続くことができるのか。
(翻訳・山口幸子)
7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録