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7月に始まった上海の「ごみ分別」の取り組みは、今や中国全土の注目の的だ。ごみ分別関連株の株価は急上昇しており、新たなビジネスチャンスの到来とばかりに、わずか1週間で新たに50社もの会社設立申請があったという。
ごみ処分市場は1000億元(約1兆6000億円)規模の潜在市場だと言う人もいれば、未来のブルーオーシャンだと考える人もいる。しかし、実際には決して目新しい分野というわけではない。この分野について、いくつかの側面から整理する。
競争が激化する収集業界
まず、一口にごみ処理と言っても「ごみの廃棄、収集、運搬、処分」といった過程が含まれている。この一連の処理フローを、分別収集、回収運搬、中間処理・最終処分の3分野に分けて分析していく。2017~2019年の間に中国市場で初期の資金調達を完了させた企業は、分別収集部分に集中している。
分別収集分野においては、家庭・個人向けサービスから法人向けサービス、ソフトウェア提供からハードウェア製造に至るまで、すでに多様なビジネスモデルが展開されている。一方、回収運搬及び中間処理・最終処分関連は法人向けサービスが中心で、主にごみの運搬や処理設備、技術提供に限られている。
分別収集の企業は「ごみ収集型」と「ハードウェア製造型」に大きく二分され、中でも「ごみ収集型」のモデルを採用している企業が最も多く、このタイプはさらに訪問による収集型と定点による収集型に分けられる。
訪問収集型企業
訪問による収集とは、個人がオンラインで業者にごみの回収を依頼し、業者が個人宅を訪問して回収するというものだ。業者は、集めた再利用できる紙や金属類のごみを再生工場に売却することで利益を得る。この業態は対象が一般の消費者全体であるため市場規模は大きいが、客単価が低く、経営コストが高いという問題がある。典型的な訪問収集型企業「再生活(Zaishenghuo)」も、2017年には倒産してしまった。
過去の事例から、ごみ収集業は地域内のO2Oサービスだけでは成り立たないことが分かっている。では、訪問収集の効率を上げ、コストを下げるには何をすべきか。多くの業者は、模索を続け、現在以下のように工夫して活路を見出している。
1、特定の種類のごみに限定して収集を行う。例えば電子機器や金属、古紙のみを収集する。
2、ごみの排出量がより大きい法人に限定して収集を行う。今では多くの業者が学校、企業、政府機関等の法人向けサービスに目を向けている。
法人向けサービスの場合、1回あたり収集できるごみの量が多いため効率が高い。また、きちんと分別されているため、ごみの「質」も高い。
注目したいのは、多くの企業が上記の2つの方法を組み合わせ、「法人向けに特定のごみを収集する」サービスを選択していることだ。例えば古紙、家電、プラスチックごみの収集に特化した「閑豆回収(Xiandou Recycling)」は、2018年11月までに法人顧客が1万2000社を超え、1カ月あたりの平均収集量は1万トンを突破し、前年同期比で120%増加した。2018年10月にはシリーズCで1億元(約16億円)以上の資金調達にも成功している。
定点収集型企業
定点による収集は、特定のコミュニティ内にスマートごみ箱やごみ収集所を設置するというもの。例えば「一桶収(Yitongshou)」は、ゴミの出元を判別できるQRコード付き無人ごみ収集機を開発した。また、「愛家物聯(AIJIA)」はスマートごみ収集所を設置し、各収集所に専門の訓練を受けた管理スタッフを1人ずつ配置するという管理モデルを採用している。
分別ごみ箱製造等の「ハードウェア製造型」企業
中国政府のごみ分別収集政策を受け、家庭用の分別ごみ箱を製造する企業も急成長している。家庭用品を扱う「極有家(Jiyoujia)」では、6月のごみ箱の売り上げがタオバオ(淘宝)で300万件を超え、Tmall(天猫)では前年同期比500%増を記録したという。このうち85%以上は、新たなごみ分別ルールが始まった上海からの注文だった。
上記に挙げた企業以外に、複数分野に跨がり物流システムやごみの分別・保管システムを自社で構築してコスト削減や収益増加に成功している企業もある。
(翻訳・桃紅柳緑)
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