ペット型ロボット、AI時代の「新しい家族」に。寄り添いや教育・防犯機能も備える「BabyAlpha」

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四足歩行ロボットを開発する「蔚藍智能科技(WEILAN Intelligent Technology)」がシリーズA1で1億元(約20億円)以上を調達した。出資を主導したのは国有資本系ファンドで、既存株主も参加した。

蔚藍智能科技は2019年に南京市で設立され、あらゆる家庭や企業で使える汎用型ロボットの開発に注力する。主力製品はイヌ型の四足歩行ロボットで、最初の製品として2021年3月に「ALPHADOG C5」を発売すると1万台以上を受注した。

2022年には所在地の江蘇省で人工知能産業リーダー企業に認定され、2023年には中国投資発展促進会創投専門委員会から「2023中国 未来のユニコーン企業トップ100」に選出された。

ALPHADOGのデモンストレーション

ALPHADOGはバランス力、障害物踏破能力、運動能力、視覚機能などが優れている。製品はコア部品に至るまで完全に自社で開発しており、ロボットの運動制御、インテリジェントな意思決定・行動計画、関節用アクチュエーターなど、同社のコア技術は特許として出願中あるいは取得済みのものを含めて100件以上に上る。

AI時代における新しい家族の一員として開発した「BabyAlpha」もこのほどリリースされた。家庭生活に焦点を当て、家族に寄り添い見守る存在や愛玩目的としてだけでなく、教育や学習、防犯やセキュリティ、AI管理人としての機能を備える。製品は米アップルのサプライヤーに求められる基準に沿って開発・生産しており、多くの製品がiPhoneの製造技術基準に倣っているという。

「BabyAlpha」シリーズの全製品

BabyAlphaは「Fun、Fashion、Future(楽しみ、ファッション、未来)」というデザインコンセプトの元、かわいらしい外観となめらかな質感、親しみやすい形状を持ち、性格や好みがあるほか、学習や成長ができ、情動を記憶できる完全な知的エージェント(IA)だ。製品には蔚藍智能科技が2年かけて開発した知的エージェント用OS「AgentOS」を搭載している。

BabyAlphaには専用のドッグハウスも用意されている。1平方メートルほどの大きさでロボットが自由に遊んだり充電したりできるため、ユーザーが関わらなくても常に充電済みの状態を保ち、家族の一員としての役割をしっかりと務められるようになっている。

蔚藍智能科技を創業した劉維超氏は独ボン大学を卒業し、AIや機械学習の研究を20年以上続けてきた。ボン大学のロボット競技チーム「Team NimbRo」や、3Dコンピューターグラフィックスなどを研究する独ミュンヘン工科大学の「Computer Vision Group」に参加した経験を持つ。著名なAI・ロボット科学者でボン大学コンピューターサイエンス研究所所長のSven Behnke教授や著名なコンピューター科学者、コンピュータービジョンの専門家でゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞の受賞者でもあるDaniel Cremers教授に師事してきた。その他の開発メンバーも清華大学や中国科学技術大学、ハルビン工業大学、マサチューセッツ工科大学、カーネギーメロン大学、ペンシルバニア大学などの出身で、AIやロボットの研究経験が豊富だ。

写真中央が創業者の劉維超氏

中国は四足歩行ロボットの開発に取りかかった時点では世界に後れを取っていた。しかし近年の発展は目覚ましく、蔚藍智能科技をはじめ、「宇樹科技(Unitree Robotics)」、「雲深処科技(DEEP Robotics)」などの新興企業が生まれたほか、ファーウェイやテンセント、シャオミ(Xiaomi)、iFLYTEK(科大訊飛)などの大手企業も参入してきている。

蔚藍智能科技はBabyAlphaを発売することで2023年を個人用ロボットの普及元年とし、24年までに10万世帯に届ける目標を掲げている。同時にヒト型ロボットの開発と製品化実現も目指していく。 汎用型ロボットの導入でもたらされる労働力は第3次産業革命に相当するものであり、巨大なビジネスチャンスが生まれるとともに、人類が真の創造的な仕事に専念できる世界に向かっていくと同社は考えている。

(翻訳・山下にか)

四足歩行ロボットの量産化、中国で先行する「Unitree Robotics」 北京五輪で活躍 感染対策にも

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