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炭素繊維複合材料(CFRP)を手がける「華漁新材料」がプレシリーズA+で数千万元(数億~十数億円)を調達した。硅港資本(Silicon Harbour Capital)と中国メンズアパレル大手・七匹狼(Septwolves)傘下のファンドが出資した。昨年に実施した2度の資金調達と合わせ、調達額は累計で数千万元(数億~十数億円)に上った。
華漁新材料は新材料を使った革新的な製品のサプライヤーとして、自動車分野でCFRPの活用に力を入れており、主要製品のCFRPドライブシャフトや、駆動システムを構成するローターのシャフトとスリーブを専門的に量産する中国唯一のメーカーだ。
頑丈かつ軽量で振動減衰性と耐腐食性を有する炭素繊維は、自動車業界で活用すれば、車体の重量を減らすと共にモーターの電磁効率を上げ、エネルギー効率の向上と電気自動車(EV)の航続距離延伸のほか、車両の快適性と寿命の向上が見込める。ただしコストが高く、これまで自動車にはあまり使われてこなかった。
しかし近年は、自動車メーカーが走行性能や快適性の向上を目指すようになり、動力部品向け炭素繊維市場が生まれた。
米EV大手のテスラは、高性能モデル「Model S Plaid」のモーターにCFRPスリーブを使い、同スリーブ採用車種を量産する最初の自動車メーカーとなった。今年9月には華漁新材料のCFRPロータースリーブも、吉利汽車(Geely Automobile)傘下EVブランド「ZEEKR(極氪)」の高級モデル「ZEEKR 001 FR」に採用された。
ローターはモーターを構成する基幹部品で、バッテリーの電気エネルギーを車両の運動エネルギーに変換する。一般的にはモーターの回転数が高いほど、車両の走行速度は速くなるが、モーターの回転数が高すぎるとトルクは低下すると言われており、CFRPロータースリーブはこうした問題の解決策となる。
創業者の余許多CEOは「標準的なローターの回転数は1分当たり1万6000回だが、CFRPローターはその1.4~2倍に当たる2万5000~3万回に達する」と説明した。ローターの最高回転数が上がって加速性能が向上する一方、EVの高速走行時もトルクは下がらず、質の高い高速走行が可能になるという。
実際の走行テスト結果によると、CFRPロータースリーブを採用したZEEKR 001 FRの0-100km/h加速(停止状態から時速100キロ到達までの時間)は2.07秒で、Model S Plaidの2.1秒より速かった。最高時速はModel S Plaidの322キロに迫る300キロで、駆動システムの効率もModel S Plaidを上回った。これほど性能が上がったにもかかわらず、モーター全体のコストは3~5%増えたのみだという。
ZEEKRの量産に使われた製品は上海汽車(SAIC)や埃安(AION)など自動車メーカー10社余りに採用される見通しで、CFRPローターの市場規模は約200億元(約4000億円)に上ると見られている。
CFRPをドライブシャフトに使うと、同じように走行パフォーマンスが向上する。従来の鉄製に比べ、CFRPドライブシャフトは重さを30~60%減らすことができる。駆動システムが軽量化されれば、大幅な性能向上の余地が生まれ、例えばトルクは2.5倍上がり、最高回転数も50%高くなるという。
また、軽量化と加速性能の向上に加え、CFRPドライブシャフトは快適性を損ねるNVH(ノイズ、振動、ハーシュネス)も改善する。余CEOによると、CFRPドライブシャフトは10車種以上に採用されることが決まり、市場規模は100億元(約2000億円)を超える見込みだという。
軍事産業、航空、宇宙などの分野で開発されてきた炭素繊維はここ数年、洋上風力発電業界で大規模に活用されるようになり、生産能力が増え始めると同時にコストも下がりつつある。生産能力の増加に伴って、炭素繊維が自動車業界で活用される機会も増えていくだろう。
(翻訳・大谷晶洋)
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