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インテリジェント・ドライビング・ソリューションの研究開発を手掛ける中国企業「輔易航(Forvision)」(以下フォービジョン)がこのほど、元禾重元(Oriza Prior)と蘇高新金控(SND Financial Holdings)から1億元(約21億円)近くを調達した。この資金を活用してコア技術のさらなる開発や商用化を進め、製品の量産を目指すという。
フォービジョンは2017年6月に設立された。現時点で、コントロールユニット、超音波センサー、光学センサー、車内空間の快適性を向上するソリューションという4つの製品ラインを展開している。
同社が手がける次世代型超音波センサー技術は、カメラの曇り除去や車内の生体検知、水深検出などの機能を備える。辛勇磊CEOによると、カメラの曇り除去機能はセンサーの材料や製造工程に高いレベルが求められるため、この機能を開発できるサプライヤーは中国に1、2社しかないという。その原理は、圧電セラミックスの熱でカメラについた氷や霜を溶かし、超音波センサーの振動で水滴を振り落とすというものだ。現在のところ、カメラの曇り除去機能を搭載した製品は量産に至ってはおらず、複数の自動車メーカーが開発を進めているところだという。
車内空間の快適性を向上するソリューションは、フォービジョンが新たに手がけ始めた分野だ。そのソリューションは、車内の空気環境の検知・改善、ドライバーの行動検知、子どもの車内放置検知、ジェスチャー認識などの機能を備えている
同社の製品や技術はすでに中国の主要自動車メーカー各社が採用しており、吉利汽車(Geely Automobile)、第一汽車集団(FAW)傘下の紅旗(Hongqi)、北京汽車(BAW)、広州汽車(GAC)、比亜迪(BYD)、蔚来汽車(NIO)などの30車種余りに搭載されている。
自動車メーカーの新車開発ペースに対応するため、フォービジョンはADAS(先進運転支援システム)用センサーの80%をプラットフォーム化し、開発サイクルを最短6カ月に短縮することに成功した。残り20%のセンサーは、車種ごとにホイールベースやホイールハブ、サイズが異なるため、車両全体の環境をシミュレーションし、ソフトウエアアルゴリズムを使ってセンサーの設置場所を確認する必要がある。この場合でも、自動車メーカーとの打ち合わせから量産までを最短1年で完了することができる。
さらに、面積5000平方メートルのパーキングアシスト(駐車支援システム)試験場では、2000通り近くの駐車シーンを蓄積してきた。「自動車メーカーが独自開発するパーキングアシストのアルゴリズムには、高いレベルのセンサー精度や安定性が求められる。そこで私たちの蓄積したシーンライブラリが役に立つ」と辛CEOは話す。
新車の開発期間がますます短くなるなか、自動車メーカーからは生産効率を高めるために、設置場所を問わない汎用型のセンサーを求める声が上がっている。自動車1台には通常十数個のセンサーがあり、検出距離に応じて長距離用や短距離用に分かれているが、見た目はどれもほぼ同じだという。間違って異なる種類のセンサーを設置しないよう自動車メーカーも対策を講じているが、人為的なミスを完全になくすことはできない。このニーズに対し、フォービジョンは超音波センサーの検出角度を広げると同時に、ソフトウエアを調整することで、自動車メーカーの求める精度を保ちつつ、さまざまな用途に対応できる超音波センサーを実現した。
フォービジョンは、より早く自動車メーカーのニーズに対応するため、自社工場の建設も進めている。向こう1年で量産車10車種近くが同社の製品や技術を搭載するという。
*2024年2月1日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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