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北米のフードデリバリーサービス「飯団(Fantuan Delivery)」が、同じく北米でアジアン・フード専門のデリバリーを手掛ける「Chowbus」のデリバリー事業を買収した。Chowbusは今後、POS事業と飲食店向けSaaSに集中するという。
飯団とChowbusはともに長年にわたって北米のアジアン・フード市場を開拓してきた。飯団は2014年にカナダのバンクーバーで設立され、現在は米国、カナダ、オーストラリア、英国の60を超える都市でサービスを展開、北米の中国系住民向けフードデリバリー市場で長くシェアトップを誇っている。フードデリバリーのほか、生鮮食品の配送、共同購入サービスなど生活関連サービスも提供する。
飯団を創業したRandy Wu氏によると、飯団はフードデリバリーを提供するだけではなく、中国系住民が海外で生活するうえで必要とするサービスを届けたいと考え、フードデリバリーを皮切りに生鮮食品の配送やピックアップ・デリバリーサービス、旅行手配まで、海外に暮らす中国系住民を対象とした事業を展開しているという。
飯団は2023年12月、シリーズCで4000万ドル(約60億円)を調達したと公表した。在米華人創業の生鮮食品EC ・GrubMarketとCeltic House Asia Partnersがリードインベスターを務め、元璟資本やJSD Capitalなどが参加した。一方Chowbusは、Prysm Capital などから22年と23年に総額4000万ドル(約60億円)を調達している。
Chowbusは2016年に米国・シカゴで設立され、米国でアジアン・フードのデリバリーサービスを手掛ける主要プラットフォームのひとつとなった。2022年に飲食店オペレーション事業とPOSサービスを開始し、1年半のあいだに飲食店1000店以上にサービスを提供するまでになった。米国最大のPOSサービス事業者「Toast」は、サービスを1000店に広げるのに4年を要している。
飯団もChowbusも北米のアジアン・フード業界で事業展開しているものの、重点の置き方は異なり、飯団はカナダ市場を、Chowbusは米国市場を中心としている。今回の事業再編は、飯団にとっては北米のフードデリバリー資源を整理・統合するのに役立ち、Chowbusは自社開発のレジシステムを使いより行き届いたサービスを提供することができる。
Wu氏は「この戦略的買収は、飯団とChowbusがユーザー・飲食店・配送スタッフの資源全てを統合、最適化することを意味し、北米アジアン・フード市場での飯団の絶対的トップの地位を確実にする。飯団はChowbusの飲食店向けSaaSとPOS事業を全力で後押しする」と語った。
北米市場ではアジアン・フードの存在が際立っている。米シンクタンクのピュー研究所によると、米国ではアジア系レストランのうち中華料理、日本料理、タイ料理を扱う店が全体の71%を占めており、この3カ国にルーツを持つ人がアジア系米国人の約33%に上るという。
この3年で北米の消費者のあいだにフードデリバリーを利用する習慣が定着してきた。同時に、より多くの飲食ブランドがデリバリープラットフォームと提携するようになったことから、デリバリープラットフォームのインフラ構築は大きなカギを握るものとなった。
飯団とChowbusは在外中国人が創業した代表的なスタートアップだ。中国系住民の消費習慣や飲食業者が抱える問題を熟知しており、現地で得た経験をもとに北米のアジアン・フードデリバリーサービス市場を攻略することができる。
Chowbusを創業した温林鑫CEOは「我が社はデリバリー事業から始めて、飲食店向けSaaSとPOSシステムを自ら開発、リリースした。目的は飲食業をあらゆる面からサポートすることだ。飲食店向けSaaSの急速な拡大に伴い、ひとつの事業に集中してよい製品を作り、より多くの事業者を支えたいと考えている」と述べた。
*2024年2月1日のレート(1ドル=約147円)で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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