ソフトバンクがラテンアメリカに熱視線 今年注目するスタートアップ企業は

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ソフトバンクがラテンアメリカに熱視線 今年注目するスタートアップ企業は

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10月7日、ソフトバンクがブラジルで都市間チャーターバス配車システムを運営するスタートアップ企業「ブーゼル(Buser)」のシリーズBにおけるリード・インベスターをつとめることを発表した。コ・インベスターには「Canary」「Monashees」「Valor Capital」といったブラジルのベンチャーキャピタルに加え、同国の大手放送局グローボグループの名が並ぶ。具体的な出資金額は明らかにされていない。

現地メディア「LABS」は今回の出資額は3億レアル(約78億円)以上とと予測。ブーゼル創業者のMarcelo Abritta氏は、調達した資金は業務と提携に投入すると語っている。

これに先立つ9月21日、ソフトバンクは近々大きな出資をすることを明らかにしていた。

ブーゼルとはどんな企業なのか

2016年に設立したブーゼルは現地では「バス版Uber」とみられている。同社の事業モデルはシンプルだ。ブラジルでは長距離バス路線は1社が独占することが多く、運賃が割高になっていた。同社は同一の目的地に向かう乗客らを集めてバスをチャーターする方式を採用する。複数のバスの運営会社と提携することで、利用者により安い運賃でのサービスを提供できる。同社のプラットフォームを利用すれば従来の約半額でバスを利用できるという。

ロイター通信等の報道によると、同社のユーザーは累計25万人、40社の大型バス会社などと提携しているという。

Abritta氏は現状に満足することなく、将来的には1日あたりの受注件数を現在の10倍である3万件にまで増やしたいとしている。「我々の目標は今後12カ月以内に20州、200以上の都市に業務を拡大することだ」と同氏は語った。現在同社の営業範囲は50以上の地域に及んでいる。

ラテンアメリカのテック系ニュースサイト「Contxto」の報道では特に、ブーゼルとソフトバンク提携のポテンシャルについても言及している。ソフトバンクはブーゼル以外にも 米Uber、中国の「滴滴出行(Didi Chuxing)」やシンガポールの「Grab」など世界各地の配車サービスアプリやコロンビアの宅配サービス「Rappi(ラッピ)」など関連スタートアップの株式を所有している。

ソフトバンク ブラジルでの軌跡

9月、ソフトバンクはブラジルで3度の投資を行っている。

9月17日、ソフトバンクは家具専門ECサイト「MadeiraMadeira」に1億1000万ドル(約118億円)を投資。同社がこれに先立つシリーズCで調達したのが合計2730万ドル(約29億円)だったことを考えるとソフトバンクの投資規模の大きさがうかがえる。

自社生産を行わないアセットライトモデルにより、MadeiraMadeiraは資金面でプレッシャーを軽減させている。ロイター通信によると、同社は第三者プラットフォームに徹し、商品在庫を持たないという。注文は直接製造業者に取り次ぐ。100万点以上のインテリア用品を扱っており、第三者業者の倉庫450カ所を管理している。

9月中旬、ソフトバンクはブラジルのデジタル銀行「Banco Inter(バンコ・インター)」の持ち株を増やし、その比率は14.94%と従来の約2倍になった。

これ以前にソフトバンクはテンセントが投資したブラジルのフィンテック企業「Nubank(ヌーバンク)」に接触したと報じられたが、ヌーバンクが7月に行ったシリーズFの資金調達には結局参加していない。

9月9日、ソフトバンクはブラジルの不動産賃貸プラットフォーム「QuintoAndar」が行ったシリーズDで2億5000万ドル(約270億円)の出資を主導している。

今年7月にはソフトバンク・ビジョン・ファンドが不動産や自動車などを担保に消費者ローンを提供する「Creditas(クレディタス)」に2億3100万ドル(約250億円)を出資している。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドはその他にもフィットネスの「Gympass」、配送アプリ「 Loggi(ロッジ )」などブラジルのスタートアップに出資している。

なぜ中南米なのか

ソフトバンクは今年の3月、ラテンアメリカ市場に特化した50億ドル(5400億円)規模のファンド設立と同市場のスタートアップ企業に投資することを発表している。

さらに10月2日、ソフトバンクは同社が支援する企業の中南米進出に協力する「ラテンアメリカ・テック・ハブ」を設立、連続起業家のラルフ・ウェンゼル(Ralf Wenzel)氏をCEOに任命した。同氏は独フードデリバリーサービス「Foodpanda」と欧州の電子ウォレット「Skrill」の創業者でもある。

同社の公式サイトでは「今後5年間で50の合弁事業立ち上げを目指す」としている。まさにその言葉通り、9月下旬、高い成長が見込める約40社の企業をブラジルへ誘致することを検討中であることが明かされた。

ブラジルを選択したのは単なる偶然ではない。同国がラテンアメリカにおけるベンチャーキャピタルの主戦場になる可能性が高いからだ。

中南米の投資状況をまとめている「ラテンアメリカ・プライベートエクイティ&ベンチャーキャピタル協会(LAVCA)」によると、昨年ベンチャーキャピタルのブラジル市場に対する投資総額は13億ドル(約1400億円)にのぼった。ラテンアメリカ市場の半分以上を占めており、前年同期と比べて52%の成長だ。

ブラジルのユニコーン企業数もラテンアメリカ市場の半数を占めている。Contxtoの報道によると、今年の4月時点でラテンアメリカには19社のユニコーン企業があるが、そのうち10社をブラジルの企業が占めているのだ。

ソフトバンクは一足早く賭けに出た、ということか。
(翻訳・山口幸子)

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