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指紋や顔認証に続く「第三の生体認証技術」として、手のひら静脈認証が社会実装の段階に入りつつある。2021年創業の脈澤科技(MASER、広東省広州市)は、AI(人工知能)を活用した独自のアルゴリズムにより、従来課題だった導入コストを大幅に削減。プライバシー保護と利便性を両立する次世代インフラとして、世界市場でのシェア拡大を狙う。
顔・指紋認証の弱点を克服
生体認証で先行する顔認証は、マスク着用時の精度低下やプライバシー侵害への懸念が根強い。一方、指紋認証は手荒れや怪我によるエラーが起こりやすく、偽造のリスクも指摘されてきた。
これに対し、手のひら静脈認証は近赤外線を照射して皮下の静脈パターンを読み取る。体内情報であるため偽造や遠隔での不正取得が極めて困難で、汚れや傷の影響も受けにくい。血流を検知するため、生体以外での認証を拒否できる点も強みだ。
とはいえ、専用の光学装置や高性能チップを必要とするため、これまでコスト高が普及の障壁となっていた。しかし、ここ数年で大きく進歩したAI技術を活用することにより、脈澤科技は市場に出回る汎用チップを使って大幅なコスト削減に成功した。創業者の曽香玉氏は「当社の手のひら静脈認証装置の製造コストは開発当初の半分以下になり、現在の価格は顔認証装置と同等になっている」と胸を張る。同社は10種類以上の認証デバイスに加え、勤怠管理ソフトやミニプログラムまで一気通貫で提供。アルゴリズムからシステムまでをパッケージ化することで、導入のハードルを大幅に引き下げた。
法規制を追い風に海外展開も加速
中国の政策も業界の変化を後押しする。2025年6月に施行された顔認証に関する規定「人臉識別安全応用管理規定」では、更衣室やホテル内などでは顔認証技術の使用を禁じるよう明確に求めている。これにより、多くの企業は代替案への切り替えを迫られ、手のひら静脈認証が好機を迎えることになった。
脈澤科技は現在、国内市場で着実に事業拡大を進めると同時に、海外展開も加速しており、東アジアや東南アジア、中東、南米などに顧客を広げている。
曽氏は「日本企業は2000年代初頭に同技術を世界に先駆けて実用化したが、その後の製品刷新が緩慢だった」と指摘。同社はAIを活用し、海外企業よりも高性能の製品を約3分の1の価格で提供することで、多くの海外販売代理店との提携を勝ち取った。
今後の展望として、スポーツ施設や商業施設での一括管理を見据える。一度登録すれば、入退場からロッカーの利用、施設内決済までを「手のひら一つ」で完結させる計画だ。
プライバシーやセキュリティがこれまで以上に問われるデジタル時代、体内に隠された静脈パターンこそが、次世代の本人確認手段として有力な選択肢になりそうだ。
(翻訳・田村広子)
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