ポラリスやホンダの”手が届かない”市場を狙え〜中国発電動ATV「ModMax」、数千万ドルを調達

スマート電動全地形対応車(ATV)を手がける中国発スタートアップ「ModMax(魔邁)」がこのほど、シードラウンドおよびエンジェルラウンドで数千万ドル(数十億円規模)を調達した。高瓴創投(GL Ventures)や雲時資本(Seas Capital)、雲沐資本(Yunmu Capital)が参加した。資金は主に初代製品の研究開発や製造、チーム構築、海外市場開拓に充てられる。

ModMaxは2025年設立。創業者兼CEOの林驥氏はセグウェイ・ナインボット(Segway-Ninebot)でプロダクト部門やイノベーション事業部の責任者を務め、カートシリーズや電動キックボード・GTシリーズなど多くの大ヒット商品をゼロから手掛け、累計で数十億元(約百億円)を売り上げた。中心メンバーの多くもセグウェイやドローン大手のDJI(大疆創新)などテック系企業出身で、新製品の開発・上市を多数手がけた経験を持つ。

ATVは欧米では歴史が長く人気のある市場だ。北米の約100万カ所に達する農場や牧場で仕事道具として欠かせないだけでなく、オフロード車愛好家からの人気も高い。

データによると、ATVの世界市場規模は2024年に約119億5000万ドル(約1兆9000億円)から210億ドル(約3兆4000億円)に達したとされ、北米市場が半分近くを占めている。市場の大半は米ポラリス(Polaris)、カナダのBRP(ボンバルディア)、日本のホンダ、ヤマハ発動機など大手数社が握っている。

こうしたなかModMaxはガソリン車の電動化という簡単な手法ではなく、電動モビリティの三電システム(モーター・バッテリー・電子制御システム)が持つ柔軟性を活かし、モジュール化という発想によりATVを再構築することで、高い冗長性と拡張性を持つアーキテクチャを実現した。

ATV電動化における最大の技術的課題は、極端なオフロード環境での動力制御だ。林CEOによると、モーターは瞬時に大きなトルクを出せる一方、ぬかるみや砂利道などでは大きすぎるトルクのためにタイヤが空回りして制御を失いがちになるという。

そこでModMaxは、独自のスマート制御アルゴリズムを開発した。トルクを制御しやすくすることで、農業用としては圧倒的な静音性を、競技用としてはガソリン車を上回る瞬発力を発揮できるようになった。またモジュール化により、用途に応じて機能を自由に組み替えられるようにした。

ModMaxは、ATVを機械ではなくソフトウェアで定義するという発想で、静音性や操作性を重視する新たなユーザー層を狙い、大手ガソリン車メーカーとの正面対決を回避している。

林CEOは「電動ATVは単にエンジンをモーターに替えただけではなく、製品に対する考え方が今までとは違う、まったく新しいカテゴリだ」とし、「新しい製品カテゴリを生み出し、競合のいない市場を切り開いてこそ、価格決定権を握り大きな利益を手にできる」と語る。

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*1ドル=約159円、1元=約23円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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