ゴルフ場から太陽光発電所まで 中国「食鉄獣」、草刈りロボで海外開拓
業務用の自律走行型草刈りロボットを開発する中国の「食鉄獣科技(PANDAG)」はこのほど、シリーズAの資金調達で雲時資本(Seas Capital)から数千万元を調達した。資金は主に、欧米・オーストラリア市場での納品体制と世界的な販売網構築に充てられる。同社にはこれまで、香港科技大学教授でエンジェル投資家の李澤湘氏や、奇績創壇(MiraclePlus)などが出資している。
2021年に設立された食鉄獣は、初代製品「PANDAG G1」で草刈りロボット市場に参入した。25年には自社の生産ラインを設け、量産を始めた。製品はすでに複数の海外市場に投入されており、日本や北米、オーストラリアなどに販売代理店がある。韓国では大手ゴルフ場運営会社と提携し、韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)が主催する大会の会場整備に製品が使われた。また、太陽光発電所や公共緑地などでも活用されている。

ゴルフ場で作業をする「PANDAG G1」
家庭用の草刈りロボットに比べ、ゴルフ場や太陽光発電所などで使う業務用製品には、広い作業範囲や複雑な地形への対応が求められる。人が機械を操作する現場も多い。食鉄獣は、緑地管理の人手不足を背景に業務用市場の開拓を進める。
G1は車体の基礎となるシャシーに耐荷重性を持たせ、走行、草刈り、動力供給の各部分を交換可能なモジュール式にした。3枚の刃を備えた草刈り装置は、背の高い草や密生した草を刈り、細かく砕いて排出する。刃を支える部分は地面の起伏に合わせて動き、砂利のある場所や傾斜地でも作業できるという。
動力システムには、用途に応じた2つのソリューションが用意されている。同じ敷地で継続して使う場合は、自動で充電設備に戻る方式を選べる。一方、複数の場所で使う場合は、軽量な航続距離延長用モジュールを装着することも可能だ。
また、本体に標準インターフェースを設けて拡張性を持たせたことで、異なる機能モジュールに付け替えるだけで、草刈りだけでなく緑地管理のさまざまな作業に対応できるようになり、顧客も本体の再購入にかかるコストを節約できる。

「PANDAG」の自動充電機能
周囲の状況を把握するため、レーザー光を使って距離を測るLiDARと、複数のカメラで立体的に捉える技術を組み合わせた。木陰や建物の周辺など、衛星測位の信号が届きにくい場所でも、地図を作成して自律走行を続けられるという。

LiDARとステレオビジョンを組み合わせたナビゲーションシステム
食鉄獣は、現場で集めた作業データを製品や制御技術の改良に生かす。人工知能(AI)を使うシステム「PANDAG Agent」が草の種類や成長状況、季節、敷地の用途に応じ、作業の頻度や走行経路を調整する。
例えば、雑草の成長が早い太陽光発電所では自動的に巡回頻度を高め、ゴルフ場では区画に応じた作業計画を立てる。地域や季節の異なる現場での稼働を通じ、改良に必要なデータを蓄積する。
周永峰・最高経営責任者(CEO)は「草刈りは緑地管理に欠かせないが、それが全てではない」と話す。交換可能な作業装置とAIを組み合わせ、熟練作業員の経験に頼ってきた緑地管理の自動化を目指す。現在は欧米各地で製品を展示し、自社工場では増産に向けた準備も進めている。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)