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前編:2020年はショート動画アプリ2強時代 TikTok本国版「抖音」の独走に終止符なるか
快手:新しいストーリーが必要
快手にとって昨年の焦点は「急成長」と「ライブ配信以外の新しいストーリーの発見」だった。
快手にとっても2020年は重要な年である。現時点で抖音に遅れをとっている快手はより強力に成長し、これ以上引き離されないようにしなければならない。そうでなければ完全に置き去りにされる。
ただ、実際は快手の主力製品に成長の余地はあまりないだろう。従来の製品形態のままで獲得できるユーザーはすでに取り込み済みだと多くの関係者が考えている。さらに、ショートムービー市場自体が飽和状態にあり、新規ユーザーを獲得するには抖音からかすめ取ってくるしかない。当初は中国北部で優勢だった快手は、抖音の普及率が高い南部の都市でも新規ユーザーを獲得しようと打って出たが、最終的に失敗だったと判断している。
「南部戦線」が不調に終わった後、成長の重い任務は極速版アプリに託された。3億DAU達成の目標は昨年10月に軌道修正され、そのうち6000万DAUを極速版が担うことになり、快手の成長不安はある程度緩和された。
極速版を一種の防御策と位置付ける抖音と比較すると、快手は極速版への投資と期待がはるかに高い。昨年8月、快手は 地方ユーザーに狙いを定め、ニュースアプリ「趣頭条(Qutoutiao)」に似た収益モデルの快手極速版をリリース、リリース後20日で1000万DAUという驚異の成長を成し遂げた。11月時点で極速版DAUは約2500万に達したが、そのユーザーはメインアプリのユーザーと50%以上重複する。2020年も快手の重点は極速版だろう。
2020年、快手は中国版の紅白歌合戦「中国中央電視台春節聯歓晩会2020」の独占インタラクティブ提携パートナーになった。「BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)」に次いでまた一社、この国民的特番から利益を得るインターネット企業が現われたということだ。同番組との提携企画は合格点に達したようだ。QuestMobileの調査によると、春節期間中に快手のDAUは20%増加したという。ただし、続く1年にどう運用してユーザー離れを防ぐかは今後の課題だ。
DAUをどう伸ばすかといった問題のほか、新しいストーリーを探す必要もある。快手は昨年にEC事業を新しいストーリーと定め、今年も続けて手がけていくという。
直近の資金調達でテンセントもアリババも快手の株主に名を連ね、多くの人はそれをEC事業の中立性を維持するために必要なステップだと解釈している。抖音が広告に全勢力を注ぎ込んでいるのと異なり、快手は自社によるECシステムの構築を諦めておらず、EC界隈の複数の企業に提携を持ちかけている。
しかし、コンテンツ企業からするとECの自主運営は難しく、ノウハウの蓄積に長い時間が必要なため、快手の事業構想は今年も依然として初期段階に留まる。
快手がEC事業を今年の収益化の目玉にするには役不足だ。昨年7月、快手はコミッションの取り分を調整した。自社ECの取り分は5%だが、優れた出店業者の招致とつなぎ留めのため、サードパーティECプラットフォームから徴収したコミッションのうち50%を出店業者に返還する。
快手関係者によると、EC事業(モニタリング可能な部分)における2020年のGMV(流通取引総額)は目標1000億元(約1兆5000億円)だという。快手にとって成長余地は十分だが、5%のコミッションでは企業全体への貢献度は大きくない。
事業化も2020年の焦点となり得る。だが、控えめに見積もってもDAU4億の抖音が広告で600億~700億元(約9200億~1兆円)を売り上げているなら、DAU3億の快手の2019年広告収入目標150億元(約2300億円)は低過ぎる。快手にはまだまだ改善の余地がある。
(翻訳・永野倫子)
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