⽇本メーカー出⾝者率いる中国・橋⽥智能、ロボ機器開発へ24億円調達

ロボットのアーム先端に取り付け、、対象物をつかんだり加工したりする「エンドエフェクタ(末端効果器)」を開発する上海橋田智能設備(Qiaotian Intelligent)(以下、橋田智能)がこのほど、シリーズAの追加ラウンドで政府系ファンドの工業工作機械産業投資基金から1億元(約24億円)規模の資金を調達した。資金は主に、ハイエンド製品の生産能力増強、コア技術の開発と改良、グローバル市場での事業展開に充てる。

橋田智能は2016年設立、中国でも早くからロボットのエンドエフェクタや関連ソリューションに注力し、ツールチェンジャーやマグネット式金型クランプシステム、研磨機、産業用コネクタなどの製品を展開している。創業者の劉小平氏は、日本の工作機械メーカー・ソディックで工場長や技術責任者を務めた経歴があり、2010年に前身となる橋田精密を設立して、産業用ロボット大手KUKA向けのOEM事業を手がけてきた。

同社は技術開発を重ね、高性能ツールチェンジャー分野で海外メーカーが築いてきた長年の市場支配を打ち崩し、中核設備の国産化を実現した。現在は、自動車大手の北京奔馳汽車(北京ベンツ)や吉利汽車(Geely)、車載電池大手の寧徳時代(CATL)、家電大手の美的集団(Midea)などのサプライチェーンに採用されている。また、海外市場の開拓にも積極的に取り組んでおり、欧州の大手自動車メーカーと協業に向けた協議を進めている。

新たな成長の柱に据えているのがマグネット式金型クランプシステムで、2026年1~3月期の受注量はすでに前年1年間の実績を上回っている。取引先には吉利汽車のほか、金型メーカーの星泰模具(Xingtai)、自動車内装・部品メーカーの諾博汽車(Nobo Automotive)といった大手企業が名を連ねる。劉氏は、市場が転換点を迎えたとの見方を示す。同システムは従来方式より導入コストはかさむものの、金型交換の効率を大幅に高められる。製造業で進むコスト削減や自動化の動きに加え、大手企業の追加受注が評価され、試験導入から本格採用に移る顧客が増えているという。

急拡大する市場ニーズに対応するため、同社は現在5~6億元(約120億~140億円)規模の生産能力を10億元(約240億円)規模にまで引き上げる計画を進めている。この計画に向け、浙江省嘉興市嘉善県にある生産拠点に、マグネットプレート専用の生産・開発棟を建設した。

橋田智能のマグネット式金型クランプシステム生産棟

市場は大きい一方で多くの企業が乱立しており、橋田智能はM&A(合併・買収)を通じて製品群を広げる方針だ。劉氏は、自社開発のリーンマネジメントシステムを外部企業に提供し、独自技術を持ちながらも経営管理が追いついていない中小企業を統合していく考えを示している。試作の段階にとどまる企業が量産体制を築けるよう支援し、扱う製品分野を広げて相乗効果を生むのが狙いだ。

出資した工業工作機械産業投資基金は、橋田智能が独自のコア技術を有しており、製造業の自動化やフレキシブル生産が進むなかで成長余地が大きいと評価する。今回、政府系ファンドが支援に回ったことで、同社が注力するロボット用エンドエフェクタの国産化に弾みがつき、世界のハイエンド製造業のサプライチェーンへの本格参入が加速しそうだ。

*1元=約24円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事