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中国の電気自動車(EV)大手の「比亜迪(BYD)」は4月28日、2020年第1四半期(1月~3月)の業績を発表した。売上高は196億7800万元(約3000億円)で、前年同期比35.1%減となり、上場親会社の株主に帰属する純利益は1億1300万元(約17億円)で、前年同期比85%減だった。新型肺炎と新エネルギー車の販売が大幅に減少したことが、自動車関連事業に大きな影響を与えた。
BYDは上半期純利益の予測変動範囲を10%~23.8%としており、第2四半期には同社の新エネ車の販売と売上高は回復を見せるだろうと見ている。また新エネ車の原価低減に従い利益も向上するはずだとしている。
第1四半期のBYDの新エネ車販売台数は2万2192台で、前年同期比69.67%減となった。そのうち乗用車は69.79%減、商用車は65.46%減だった。政府による販売補助金削減、そして新型肺炎というブラックスワンによる打撃が致命的だった。
BYDの事業は自動車、バッテリー、IT、半導体など多分野に及び、販売車種も電気自動車(乗用車、商用車)、純電気自動車(バス、タクシー)などがある。BYDはまた商用・乗用電気自動車に使用するリン酸鉄リチウムイオンバッテリーと高エネルギー密度の三元系リチウムイオンバッテリーを開発している。
すでに公開された年間業績によると、主な収入源は自動車関連製品、スマホの部品と組立てとなっている。2019年の自動車関連製品の売上高が全体に占める割合は49.5%、スマホの部品と組立てが41.8%で、二次電池と太陽光電池が8.2%となっている。
2019年には新エネ車の補助金が大幅に削減され、一部の地域で新排出基準の適用が前倒しになったため、生産数と販売数のいずれも前年より落ち込んだ。業界全体の新エネ車の販売は2019年6月から9カ月連続で減少し、BYDの販売数も前年と比べて下降した。
巻き返しを図るため、BYDは今年に入ってから5期に分けて100億元(約1500億円)の社債を発行した。また各地の自治体による新エネ車普及補助金も獲得した。
3月25日にはトヨタと出資比率50%の「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー」の設立を発表、4月には日野自動車と商用電気自動車の開発提携の戦略的パートナーシップ契約を締結した。
同月末には「ブレードバッテリー」をお披露目した。これまでのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーはエネルギー密度と低温性能が低かったため、三元系リチウムイオンバッテリーほどの使用量がなかった。しかしブレードバッテリーは非モジュール化により効率化を実現した。これは純電気自動車の「漢(Han)」モデルに搭載される。
4月14日、BYDは傘下の完全子会社「比亜迪微電子(BYD Microelectronics)」が「比亜迪半導体(BYD Semiconductor) 」に名称変更したことを発表、戦略投資者を募った。これは独立上場への下準備である。
中国の大手投資銀行「中国国際金融(中金公司、CICC)」は、補助金削減と新型肺炎の影響を考慮し、BYDの今年度の予想利益を20.5%下方修正して14億元(約200億円)とした。またブレードバッテリーの技術を有望と評価し、将来的にリン酸鉄リチウムイオン電池の活用範囲を拡大させ、小型車やハイエンド市場にまで切り込むであろうと見ている。
2020年には新たな新エネ車補助金政策が実施されるが、これもBYDにとって追い風となることだろう。4月28日の終値では、BYDの株価は56.98元(約860円)、時価総額は1554億5000万元(約2兆3500億円)だった。
(翻訳・近藤)
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