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「アフリカ大陸のアリババ」と呼ばれるアフリカ最大のECプラットフォーム「Jumia」は、2019年4月に投資家の期待を受けて上場したが、同年に空売り投資の「シトロン・リサーチ」によって不正会計が暴露され、株価が一時10ドル(約1000円)以下となった。
その後株価は持ち直したが、Jumiaの赤字状態は続いている。このほど公表された2020年度第4四半期の財務レポートによると、当期売上高は前年比15.21%減の4176万ユーロ(約54億円)、GMV(流通取引総額)は同21%減の2.31億ユーロ(約240億円)、最終損益は同25.81%減の4708万ユーロ(約49億円)の赤字だった。売上高は予想を上回り、EBITDA(税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値)の赤字も減少したが、財務レポートの発表を受けた市場反応は芳しくなく、株価が46.20ドル(約4900円)に下落し、時価総額が37.53億ドル(約4000億円)となった。
昨年は新型コロナ禍でECが全世界で急成長したにもかかわらず、なぜJumiaの業績に大きな改善は見られないのだろうか。
アフリカのECの現状
アフリカ以外の新興市場を見ると、新型コロナ禍によって在宅需要が増えたため、2020年度第1〜3四半期にかけて、ラテンアメリカのEC大手「メルカドリブレ(Mercadolibre)」の売上高は前年比37.64%、61%、85%伸び、東南アジアのEC大手「Sea limited」は前年比で103%、102%、99%伸びている。
しかし、経済が立ち遅れているアフリカではそうはならなかった。2020年、アフリカ人の約1/3の1日あたりの所得は1.9ドル(約200円)未満で、それによってJumiaでの客単価が19%も下がった。困窮した消費者は、安いものしか買えなくなったのである。
明るい材料として挙げられるのが、Jumiaの月間アクティブユーザー数が680万に増えたこと、そして販促キャンペーンを減らしたことで、コストを抑制できたことだ。コスト抑制の効果はGMVに対するEBITDAの比率から見て取れる。2020年第4四半期と前年第4四半期のEBITDAはともに赤字だったが、GMVに対する比率は17%から12.24%に改善した。Jumiaの財務状況は好転しているといえる。
アフリカにおけるEC業界の未来も依然として明るい。調査会社「Statist」の試算によると、2020年のアフリカ全体のEC市場のGMVは184億ドル(約2兆円)で、2024年には347億ドル(約3兆6000億円)に成長する。年平均成長率は17.1%だ。ECの浸透率は2020年の24%から2024年に37.1%になり、東南アジアの43.5%、南米の46.8%と比べると、まだ成長の余地を大きく残している。
モバイル決済を展開するも実力不足
Jumiaはアリババのように大きなエコシステムを作ろうとしているが、赤字が続いたため、すでに多くの事業を手放した。同社にはまだ多角経営のノウハウがないと言わざるを得ない。
そうした状態でも手放さなかったのが、ECを支えることのできるモバイル決済事業だ。Jumiaは「Jumia pay」という名称の決済サービスを運営しており、2020年第4四半期の決済額は前年比10%増の2700万ユーロ(約35億円)だった。
しかし、現在のアフリカでは、ケニア、ガーナのようにモバイル決済が普及した国もあれば、ナイジェリア、エジプト、エチオピアのようにECでの購入でも現金での代引きが主流という国もある。Jumiaの決済事業の売上高はアフリカ市場全体からすれば高いとは言えず、普及を強力に推し進めるさらなる施策が必要だ。
アフリカではインターネットの普及によって、ECを含めた市場全体が成長を続けることは間違いない。しかし、その過程では強力なライバルが必ず登場する。その競争に備えるため、Jumiaはまず投資家に自身の収益力を印象づけなければならないだろう。
(翻訳・小六)
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