シマノ・ボッシュの牙城に中国勢 eバイク変速機、トルク2倍で挑む

世界の電動アシスト自転車(eバイク)向けスマート変速機市場では、一貫して日本の大手メーカーが圧倒的なシェアを誇ってきた。しかし今、中国の新興メーカー「洛梵狄智能科技(Lofandi Intelligent Technology)」(以下、Lofandi)が、高いコストパフォーマンス、スピーディな開発サイクル、強力なねじり剛性を兼ね備えたスマート内装変速機をを武器に、着々と存在感を増し始めている。

同社はこのほど、シリーズBの追加ラウンドで数千万元(数億円規模)を調達した。出資者は、国泰海通証券(Guotai Haitong Securities)や達晨財智(Fortune Capital)、広州開発区(黄埔区)科技創新創業投資母基金など。資金は次世代製品の開発や生産能力の拡充、グローバル販売ネットワークの構築などに充てる方針だという。

Lofandiは2012年に設立され、自動内装変速機では中国最大手のメーカーに成長した。現在は内装変速機のほか、電動モーターと内装変速機を統合して制御するシステム「MEGS(Motor Electronic Gear System)」や手動内装変速機、スマートロックなどを手がける。

インドの調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイトによると、世界のeバイク市場の規模は2025年に575億ドル(約9兆円)に達した。その後、26年には658億ドル(約10兆円)に、34年には1932億3000万ドル(約31兆円)まで拡大する見通しで、年平均成長率は14.4%にのぼる見込みだという。とくに中国や日本、インドを含むアジア市場や欧米市場で普及が進むとみられる。

同社の燕普最高財務責任者(CFO)は、欧州ユーザーの多くは2018年以降にeバイクを購入しているとし、耐用年数を8〜10年とすると今後2〜3年で買い換えが集中し、市場の拡大を後押しするとの予測を示した。

eバイクのコア部品市場では、独ボッシュや日本のシマノといった大手が大半のシェアを握ってきた。その結果、eバイクの均質化が進み、各ブランドは電動内装変速機の搭載で差別化を迫られている。欧州では高級eバイクへの搭載率が4割を超える一方、市場の7割を占める普及価格帯のeバイクではほとんど搭載されていない。電動内装変速機の価格の高さが原因だ。

加えて、ボッシュや中国の安乃達(Ananda)といった大手が、これまでよりもトルクの大きいモーターシステムを打ち出し、eバイクへの搭載を進めているが、従来型の内装変速機では対応しきれないという課題もある。たとえば、シマノの内装変速機の主力製品は、定格トルクが85Nmにすぎず、中〜高級eバイク向け変速機「enviolo HD」でも対応可能な入力トルクの上限が100Nmにとどまるため、高出力のモーターを搭載すると過負荷となり、破損しやすくなる。

Lofandiは独自開発した超高トルク技術「UHT(Ultra-High Torque)」によって、スマート内装変速機の入力トルク上限を200Nmまで引き上げる計画だ。このシステムは、AIアルゴリズムを通じてモーター、トルクセンサーおよび速度センサーから得られるデータを処理し、ペダルをこぐ力とモーター出力のバランスを最適化する。利用者の状態や路面に応じて瞬時に自動変速し、上り坂では自動でギアを落とす。同社によると、航続距離を3割伸ばせるという。

の技術力は世界のメーカーにも認められつつある。すでに複数の企業が、同社のスマート内装変速機を搭載したモデルの量産を始めたという。

【25年輸出1300万台】なぜ中国製バイクは世界で台頭したのか、その産業構造を読む

*1元=約24円、1ドル=約161円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事