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中国の若者の間で今、アルコール飲料が人気だという。データによると、昨年は女性のアルコール消費量の増加率が男性を超えたという。女性向けに度数の低いアルコール飲料を発売する企業も多く、女性にとって飲酒が身近なものとなっている。「酒時浪(Jiushilang)」は女性向けの「ほろ酔い」をコンセプトとしたアルコールブランドだ。
酒時浪は2017年に市場に参入。以前は高級ワインを扱っていた。「色とりどりの人生に乾杯」をモットーに、自由気ままにお酒を楽しむことを提唱している。2019年には方向性を変え、中国国内の優れた酒類生産者や醸造職人と提携し、アルコール度数の低いお酒に照準を合わせた。シリーズもののお酒を中心としたオリジナルブランドで、若者向けにカジュアルなアルコール飲料を提供している。中国の若者を対象にオリジナリティーあふれる飲酒文化を創造し、トレンドの「ほろ酔い」商品を発売していくという。
酒時浪が発売したシリーズ第一弾が「野」シリーズだ。「ジューシーで新鮮な果実酒」という位置づけで「ほろ酔い(アルコール度数9%)」と「果実感(ストレート果汁35%以上使用)」を売りにしている。「野荔荔(ライチ)」「野奶桃(モモ)」「野草苺(イチゴ)」など10近くのSKUが発売されており、定価は69元(約1160円)前後だ。
同社はお茶を使用したお酒がカテゴリとして浸透してきたことを踏まえ、今年正式に第二弾となる「吃茶」シリーズを発売した。「水出し茶を使用したお酒」をコンセプトとして、発売中の白桃烏龍と脆梅青茶のほか、新たに二種類の味が近日発売される予定だ。
酒時浪が現在展開している2シリーズともパッケージデザインやターゲットとしているのは若い女性だ。「野」シリーズではおひとり様や二人で「軽く一杯」という場面を想定すると同時に、ピクニックなどでも楽しめるようなギフトセットを打ち出している。「吃茶」シリーズのパッケージデザインは「香水瓶」をコンセプトとし、二~四人の女子会やアフターヌーンティーなどのシーンを想定している。同社は場面設定を重視しており、これが差別化のポイントとなっている。
酒時浪は現在主にアリババ傘下のECモール「天猫(Tmall)」に出店し販売を行っている。オフラインではセレクトショップ「KKV」、ポップアップストア、カフェ、民宿などで販売している。昨年の売上高は2000万元(約3億3500万円)を超えたという。
ここ数年、多くの新規ブランドと老舗ブランドが若者グループの消費トレンドに照準を合わせてアルコール飲料に参入してきた。消費者の選択肢が広がった一方で、企業はより激しい競争に直面している。酒時浪共同創業者の李梨梨氏は、アルコール飲料ブランドの成長には商品のイノベーションが必要であり、商品自体の口当たりや商品のもたらす体験が消費者に認められなければいけないし、マーケティングでもパッケージや利用シーンなどでブレイクスルーが必要だと見ている。
果実酒業界はいまだに際立ったブランドがない状態であり、酒時浪はブランディングのスキルも重要だと考えている。同社の創業メンバーはみな広告業界出身で、女性の日常消費財ブランド管理に成功した経験が豊富であり、消費者がSNS等でシェアしたくなるような商品作りを重視している。
現在、同ブランドには60万人ものファンがいるという。将来的には製品ラインナップを女性向けからさらに進んでニュートラルにまで拡大し、より多くの消費者をターゲットにする考えだという。
同社は福建省アモイ市に位置する。創業者の洪福氏はシリアルアントレプレナー(連続起業家)で、「厦門辺界広告」という広告会社の創業者でもある。
(翻訳・山口幸子)
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