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ここ数年、インターネットの普及にともない、アニメ作品が急速に広まり、ACG(アニメ・漫画・ゲーム)のターゲット層も増加し、影響力もますます広がっている。
日々拡大を続けるアニメ市場に注目し、一部企業は人工知能(AI)で漫画制作を行い、生産効率を上げる一方で人件費を抑えようとする試みを始めている。
Made in AIの漫画
日本では昨年、半導体メモリー大手のキオクシアの研究者と手塚プロダクションのクリエイターが協力し、AIのディープラーニング技術を用いて世界初となる人類とAIの共作漫画「ぱいどん」を制作した。この作品は、故・手塚治虫氏の作風を限りなく再現している。
AIに作風を学ばせるために、研究チームは15万枚にも及ぶ手塚氏による原稿を収集し、画像識別技術を用いてキャラクターの顔つきなどの特徴をデータ化した。
シナリオに関しては、研究チームが「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「ブラックジャック」などの100近い手塚作品を多くの段落に分け、AIに「学習」させた。AIはこれらのストーリーを分析し、ストーリーのアウトラインを自動生成した。
AIが自動生成したストーリーには論理的な間違いが含まれるが、研究チームは楽観的に捉えたという。最終的に、手塚プロのクリエイティブチームが校正を加え「ぱいどん」のシナリオが完成した。この作品は講談社の青年漫画誌「モーニング」とキオクシアのプロジェクトサイト「TEZUKA2020」で発表された。
映画やテレビドラマを漫画化 AIが自動生成
既存の漫画作品の他に、実写映画やテレビドラマも漫画制作のインスピレーションの源となっている。大連理工大学と香港城市大学の研究チームはこのほど、動画を漫画に自動変換するAIシステムを構築。AIの画像生成技術に新たな応用の道を切り開いた。
この漫画生成システムは手動での調整は必要なく、ドラマ、映画、アニメなどのフィルムのダイアログボックスと文字を漫画用ページに自動変換してくれる。
同システムには解決しなければならない問題も残っている。キーフレームの選択では、類似度の高い画面を選択して余分な画面を作り出すことがある。字幕のない動画部分では、セリフの抽出を音声認識に頼るため、ミスが多く発生している。研究チームは、今後はテキスト情報から漫画を生成できるようにしたいと語った。
中国のAI漫画家はどこに
中国国内には、漫画の自動制作に必要なAI画像認識、画像制作、テキスト自動生成技術を備える企業もある。この市場に参入する技術的基盤があったとしても、漫画の自動生成はこれらの技術の蓄積や配列だけでできるものではない。現行のビジネスモデルでは漫画制作などはカバーされておらず、特定のデータベースとアルゴリズムモデルを利用したトレーニングが必要となる。
AIによるアニメ画像生成技術を例に挙げると、現在最も普及しているビジネスモデルは企業向けのもので、撮影ソフトウエアの代わりにアメリカンコミック、日本のアニメ、3D立体動画の画風を模した画像を生成するサービスだ。
AI技術のオンラインプラットフォーム「百度大脳(Baidu Brain)」は、オールインワンカメラ&写真・動画編集アプリの「B612」とコラボし、ユーザーにアニメスタイルのトップ画のカスタマイズサービスや油絵風変換サービスを提供している。
「騰訊光影研究室(Tencent GYLab)」は、SNSプラットフォーム「QQ」の画像・動画投稿機能「小世界」や「微博(Weibo)」などで、AI特殊効果アプリを公開している。このアプリは、写真や動画の中の人物をすぐさまゲームのキャラクターやディズニーの「お姫様」に変換してくれる。
写真を漫画風に変換してくれるAIアニメ画像生成技術は、映画・テレビから漫画を自動生成する技術を基にしている。しかし、TEZUKA2020プロジェクトのように独特のスタイルを「ゼロから生み出す」漫画作品を生み出すには、やはりトレーニングが必要となるようだ。
中国の漫画産業は2015年に急成長期に入り、現在も高い成長率を維持している。2020年6月に発表された「微博アニメ・漫画白書」によると、微博のACGユーザーは前年同期比11.4%増で、4年連続の増加となった。また、アニメ・漫画ユーザーの54%が課金していた。
中国製アニメが台頭している現在、AIを駆使して漫画制作のスピードを速めるのは悪くない考え方だ。「ぱいどん」プロジェクトに参加した科学者の松原仁氏が語ったように、将来的にはAIと人類による漫画の共同制作が当たり前になるだろう。
作者:「智能相対論(ID:aixdlun)」、離離
(翻訳:lumu)
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