中国コスメ「PERFECT DIARY」、21年1~3月期は業績好調もプチプラ脱却への課題が明確に

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中国発コスメブランド「PERFECT DIARY(完美日記)」を運営する「逸仙電商(Yatsen)」が19日、2021年第1四半期(1~3月)の財務報告を発表した。

第1四半期の売上高は前年同期比42.7%増の14億4000万元(約240億円)で、ゴールドマン・サックスの予測した36%増を上回る好業績となった。一方で、非GAAPベースの純損失は2億3430万元(約40億円)となり、前年同期の1億2940万元(約22億円)からさらに膨らんだ。

これを受けて、逸仙電商株は19日の取引終了時点で9.335ドル(約1020円)と4.94%値下がりし、時価総額は58億9600万ドル(約6400億円)となった。

逸仙電商は同社が新たなブランド戦略への投資段階に入ったと説明し、ブランド資産を構築するために現在行っている積極的な投資の成果は、これから少しずつ明らかになっていくとした。マーケティング費用は10億4000万元(約180億円)で、売上高の72.1%に相当する。

逸仙電商はこれまでもマルチブランド戦略やニューリテールを前面に掲げてきた。現在は主力ブランドのPERFECT DIARYに加え「Little Ondine(小奥汀)」や「Abby’s Choice(完子心選)」など7ブランドを展開している。

この戦略が奏功し、DTC(Direct-to-Consumer;自社直販サイト)の利用者は前年同期比11.6%増加し960万人を突破したほか、客単価も同24.5%増の122.9元(約2100円)となった。

実店舗の展開にも力を入れており、今年3月末時点で全国110都市以上に245店ある体験型店舗を、今後2~3年でさらに増やす計画だという。

国際的なコスメブランドがメーキャップ事業の縮小に踏み切るなか、中国のメーキャップブランドが急速に台頭し、海外進出さえ果たしている。中国税関総署によれば、中国の化粧品輸出額は2018年の25億ドル(約2700億円)から、2020年第1~3四半期には31億3900万ドル(約3400億円)に増加したという。

2020年に海外事業に乗り出したPERFECT DIARYは、今年4月までにシンガポールとベトナムのECプラットフォーム「Shopee」でメーキャップ部門の販売トップとなったほか、マレーシアでも同プラットフォームのリップメイク部門で販売トップとなった。さらに現地のEC大手と提携して、東南アジア市場におけるオンラインの販路を確立している。

逸仙電商は昨年11月にニューヨーク証券取引所に上場を果たし、中国コスメ業界で初の上場企業となった。PERFECT DIARYのブレイクにより、低価格の中国コスメブランドが一気に台頭してきたが、PERFECT DIARYも含め多くの中国ブランドは「プチプラ」からの脱却を望んでおり、ゆくゆくは資生堂やロレアルパリなど高級コスメと肩を並べることを目指している。

とはいえ、中国コスメブランドと海外の有名ブランドとの間には依然として大きな隔たりがある。ロレアルパリは業績が思わしくない状況にありながらも、2020年上半期に研究開発費として前年同期比7.1%増の37億8300万元(約4100億円)を計上しており、これは販売額全体の3.5%に相当する。一方の逸仙電商の研究開発費は2774万元(約4億7000万円)で前年同期比では127.54%も増やしたが、売上高全体に占める割合は1.92%にとどまっている。ブランドの持続的な成長を考えた時に、マーケティング費用を適正に抑え、製品の研究開発に継続的な投資を行うことが、消費者の心をつかんでおくための最も確実な方法と言えるだろう。
(翻訳・畠中裕子)

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