創薬加速化させる生体機能チップ開発、中国新興が資金調達

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生体機能チップを開発する「大橡科技(Daxiang Bio)」がこのほど、シリーズAで数千万元(数億円)を調達した。リード・インベスターは「鼎暉投資(CDH Investments)」、コ・インベスターは「奇績創壇(MiraclePlus)」や既存株主の「薬明康徳(WuXi AppTec)」などが務めた。

創薬産業の発展に伴い、製薬業界では従来の2次元細胞培養モデルや動物実験モデルに加え、より効率的で正確な評価システムによって研究開発リスクを軽減する必要に迫られている。こうした中で生体機能チップ技術が生まれた。

生体機能チップには物理、化学、生物学、医学、材料学、組織工学など数十の分野の要素が凝縮されている。メモリカードサイズのデバイスにさまざまなヒト由来の生体細胞を効率的に集積することで、複雑な構造を持つヒトの臓器を生体外で再現するとともに、流体せん断応力やサイトカイン濃度分布、多臓器間相互作用などのパラメータを細かくコントロールしながら組織の微小環境とヒトの生理機能を忠実に再現する。

生体機能チップは、より優れた方法と効果を医薬品の生体外テストにもたらし、医薬品開発のコストと時間を減らすことができる。

大橡科技は2020年8月、単独で知的財産権を有する生体機能チップを3種類リリースし、それらを基盤とするさまざまな病理モデルと生理モデルを構築した。

同社の肝臓モデルや腫瘍モデル、血液脳関門モデルなどは、権威ある第三者機関によってデータ検証されている。また、同社はトップクラスのグローバル製薬会社と共に医薬品開発プロジェクトを進めており、技術プラットフォームの構築から製品開発、生産、製品応用に至るビジネスのクローズドループを構築している。

生体機能チップに続いて、同社は先端技術の「オルガノイドチップ」に注目している。

オルガノイド(Organoid)とは、生体外の特異的因子の誘導とハイドロゲルによって多能性幹細胞から培養された3次元構造のミニ臓器で、ヒトの臓器に似た組織工学と遺伝子型の特徴を持ち、臓器の生理機能を再現するものだ。

精密医療の分野では、一般的に次世代シーケンス(NGS)がターゲットやバイオマーカーの確認に使われている。しかし、偽陽性や偽陰性が一定の割合で存在するため、シーケンス結果を治療プランの策定に十分活用できない。また、細胞内のシグナル伝達経路が複雑なため、ターゲットとなる遺伝子のシーケンス結果と臨床における医薬品使用結果が完全に一致しないことがある。オルガノイドチップ技術はこうした問題を解決できると期待されている。

世界的に見てもオルガノイド分野は大きな成長の可能性を秘めており、海外ではすでにある程度の市場が形成されているが、中国の市場はまだ初期段階にある。

周宇介CEOによると、同社が開発したオルガノイドチップは、オルガノイド技術と生体機能チップ技術を組み合わせたもので、オルガノイドの生化学的および物理的な微小環境を忠実に再現するだけでなく、オルガノイド培養の成功率やオルガノイドの安定性と再現性を高め、従来のオルガノイド技術にあった欠点を解決することができるという。

同社の研究開発チームは、さまざまな腫瘍組織をベースとしたオルガノイドチップモデルの作製と、腫瘍免疫微小環境をはじめとする複雑な生体外モデルの構築に成功した。また、提携先と共に、薬剤感受性試験結果と臨床応用結果の整合性に関する臨床研究も進めている。
(翻訳・神戸三四郎)

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