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半導体や無線通信分野で5G導入などによる高周波化・高速化が進み、電子部品も精密化する中、電波障害や安定性を欠く無線周波数帯の問題、また電子部品の内蔵チップが放熱できないなど深刻な問題が顕在化してきた。
こうした問題を背景に、電磁波遮蔽材料(EMI)や熱制御(サーマルマネジメント)材料などの新材料市場が急成長中だ。中国は世界最大の市場で、その規模は100億元(約1700億円)を超えている。
米市場調査会社BCC Researchなどが提供するデータによると、中国のEMI市場は2025年に700億元(約1兆1900億円)を突破し、2018年から2025年の年平均成長率は20.7%と予想される。熱制御材料は新エネルギー車、ドローン、VR・AR機器、ウェアラブル端末などの分野で需要が急増しており、熱伝導材料(TIM)市場は2021年に230億元(約3900億円)、2025年には900億元(約1兆5300億円)を超え、2018年から2025年の年平均成長率は38.5%との予想が出ている。
36Krは最近、EMIや熱制御材料で多元的なアプローチを行っている「鉑韜新材料科技(WAVE VECTOR、以下「鉑韜新材」)」を取材した。同社は電磁両立性(EMC)、遮蔽、熱伝導、半導体パッケージなどに関わる新材料を開発・製造する。スマート化が進む電子製品には、電磁両立性、熱制御という二つの大きな課題が存在するが、同社が開発する電波吸収材料は、技術指標で日本の水準と肩を並べるという。
近年では本拠地の蘇州市政府からのバックアップも手厚く、新材料業界では急成長フェーズに入った企業の一つだ。すでに39件の特許も取得済みで、同社製品はノートパソコンやスマートフォンの有機ELディスプレイ、ドローンなどの製品や、スマートセキュリティ、RFID(近距離無線通信によるID認証)、自動運転、ミリ波レーダー、スマートホーム、LPF(低域通過濾波器)、光モジュール、RFモジュール、CT画像生成、半導体パッケージなどに用いられている。
同社の中核チームは新材料分野で開発および事業化に11年間取り組んでおり、有効データを数多く積み上げてきた。6つの製品構造設計を自社で手がけていることや、多様な調合能力が業界内での技術的優位性を形成している。
例えば電磁波吸収シートは多層構造で、電磁波吸収層では軟磁性合金粉の微粒子と樹脂が混合され、各種添加剤を階層化して注入している。このような調合および微細な調整が桁違いの成果を生む。さらに、顧客企業は新たな製造・加工技術を創出し続けているため、これらに対応するカスタマイズ力や迅速な開発サイクルなど、求められる条件は厳しい。設計・製造から販売までを自社で一本化するIDM方式を採用する鉑韜新材は、あらゆる製品品目で低コストかつスピーディーに顧客の需要に応えられる。
同社の競合製品は主に海外メーカー製だ。海外製品の多くは中国国内で委託製造され、代理店が販売するケースが主であるため、顧客が求める製品や納期、品質に応えることが難しく、価格競争力も低い。このため鉑韜新材は顧客の支持も厚く、ファーウェイやレノボ、ヒューレット・パッカード、デル、ハイクビジョン(HIKVISION)といった各分野のトップ企業を顧客に持つ。今年は3000万〜5000万元(約5億1000万〜8億5000万円)の売上高を見込み、来年にはさらに2〜3倍の売上増が期待される。
(翻訳・愛玉)
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