米オープンソースシステム「Alluxio」が資金調達、北京に中国本部設立へ

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米スタートアップでオープンソースシステムのベンダー「Alluxio」がシリーズCで5000万ドル(約57億円)を調達した。「高瓴創投(GL Ventures)」が出資を主導し、「アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)」「Seven Seas Partners」「火山石投資(Volcanics Venture)」も出資に参加した。

Alluxioは今回得た資金をプロダクトの研究開発、世界中のターゲット市場の規模拡大などに充てる方針だという。また、中国市場の開拓に注力する考えも示しており、北京に中国エリア本部を設立し、現地顧客のニーズに合わせたプロダクト開発を行う研究チームを発足させる計画だ。

Alluxioはクラウドネイティブ型のオープンソースコードの配置システムを開発している。主力製品はハイパースケールでオーケストレーションを行う分散型システムで、前身は創業者でCEOを務める李浩源(Haoyuan Li)氏が博士課程在学中にカリフォルニア大学バークレー校のAMP(Algorithms, Machine, and People)Labで開発した「Tachyon」というオープンソースシステムだ。

クラウドコンピューティングの構造は、最下層に物理層、その上にストレージ層、データ処理層、アプリケーション層などが重なっている。Alluxioはデータ処理を実施するアプリケーションと現存のストレージシステムの間に仮想の層を設け、データ処理のスピードを格段に高めた。

Alluxioのデータチームはデータ処理とストレージを分離させ、データをデータ処理フレームワークに近づけてクラウドやクラスター、地域をまたいだ分析を行ったり、AI/ML(機械学習)ワークローに利用したりする。つまり、異なるストレージ内のすべてのデータを仮想化、抽象化させるということだ。抽象化したものを上層のSpark、Presto、TensorFlowなどのデータ処理フレームワークで使用できるよう配置している。Alluxioの導入でフレームワークの性能は数倍から数十倍へアップしたという。

資金調達と併せシステムの最新版「Alluxio 2.7」をリリースした。データのローディング、前処理、トレーニングを同時進行で行うことが可能で、機械学習トレーニングのI/O(入出力)効率を5倍引き上げ、コストの低減につなげた。最新版はさらに高精度な性能分析機能を有し、Apacheソフトウェア財団のテーブルフォーマット「Apache Hudi」や「Apache Iceberg」などへの対応も更に改善されたため、ビッグデータをそのまま格納するデータレイクへのアクセス量の増加が可能になり、Presto、Sparkなどの分析スピードが高まった。

李CEOは記者会見の中で、社会のデジタル化が進み、データそのものの数が増加していると指摘。データに紐づいてストレージ、分析、機械学習などを行うIT製品も増加し、データプラットフォームが複雑になりデータ利用の非効率化を招いていると語る。

「コンピュータ科学者のデビッド・ホイーラーは『コンピュータに関わる問題で、他のレベルのインダイレクションを用いて解決できない問題は一つもない』と言っていた。我々もこの方法論の下、新しいインダイレクションの層を作り出し『データの入口』を統一させた」李氏はこのように語った。

現在、Facebook(現Meta)やAirbnb、アリババ、テンセントやバイトダンスなどの巨大IT企業8社や金融、通信、ゲノム創薬などの大手企業がAlluxioを導入しており、今年の第一四半期に同社のキャッシュフローは黒字化を達成した。

今後の計画について、李氏はビッグデータ分析サポートやAI技術サポートの強化、ユーザーがより使いやすいプラットフォームの提供を挙げ、コンテナ管理サービス「Kubernetes(クバネティス)」との統合を強化すると語った。

Alluxioは今では世界的なオープンソースとなった。300以上の組織、1100人以上の人員がコードの開発に貢献しており、中には中国屈指のコンピュータ領域の大学や研究機関、IT企業、通信企業、金融企業などが含まれるという。

(翻訳・Qiunai)

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