中国で「高層マンションの駐車場を各階に」 EV充電も各戸で可能 

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不動産は経済成長の重要な要素の一つだ。中国の2022年の経済運営方針を巡る中央経済工作会議で、不動産業界は新たな成長モデルを模索し、新たな成長分野を追求する必要があるとの意見が示された。不動産業界の川上から川下までを対象としたサービスのデジタル化や革新的なビジネスモデルの提供は、技術開発を手掛ける企業の新たな成長分野になるとみられる。とくに二酸化炭素(CO2)排出量削減や新エネルギー産業が有望視されている。

建設技術の開発を手掛ける「華茂(遼寧省省沈撫新区)建设技術」(以下、華茂建設)は、高層集合住宅の駐車場を各階に配置する「高層住宅同層停車技術」を開発した。建築設計・施工に関する現行基準、とくに安全性や防火性能などに関する条項に準拠した上で、各階に駐車場を配置する。従来の地下駐車場付き高層集合住宅のように地下を大規模掘削する必要がなく、全住戸に駐車場を割り当てられるため、CO2排出量削減や開発コストの低減、居住者の利便性向上などを図る上で効果的だと複数の専門家が認めている。

同技術を採用した高層集合住宅は、住戸北側のベランダ部分を駐車場に充て、大型エレベーターで車を昇降させるシステムとなっている。構造設計については、通常の住宅設計に加え、自動車の荷重経路を考慮に入れた構造計算を行うだけでよい。人と車の動線は分離されており、地下通路から入った車は大型エレベーターで各住戸の駐車場に運ばれる。また、住戸北側の窓位置を調整することで、駐車場に車が入った際の眺望も確保される。

このプロジェクトは、デベロッパー、政府、消費者それぞれのニーズに適合する。第一に、従来の高層集合住宅の建設では3〜4カ月かかる地下駐車場部分の掘削工事が必要なくなるため、不動産開発業者は工期を40%短縮し、施工費用を3分の1程度節約できる。

第二に、コンクリートや鋼材の使用量を減らすことで、これら建設材料の製造に伴うCO2排出量削減に寄与する。新エネルギーの活用という点では、ベランダに車用充電器を設置し、料金の安い夜間電力をフル活用して電力消費量の低減と居住者の電気代節約を実現する。

第三に、地下駐車場にありがちな住戸から駐車場までの遠さや充電の不便さ、駐車場代の高さなどの問題を解消し、居住者の利便性を向上させる。

高層集合住宅の駐車場を各階に配置する技術に関する特許47件を保有する華茂建設

華茂建設は、高層集合住宅の駐車場を各階に配置する技術を巡り、設計・施工や技術・工法などに関する特許47件を保有している。創業者の周茂源氏によると、同社はデベロッパーへの技術提供で特許使用料を徴収するほか、アセットライトな技術管理・運営を提供することで開発プロジェクトの成功を後押しする。

同社は現在、モデル物件の開発に向けて資金調達を進めている。新エネルギー車(NEV)やコネクテッドカーなどを手掛ける企業や工場のある大都市を中心に10都市を選定し、有力デベロッパーと共に段階的にモデル物件の開発を進め、全国的に事業を拡大していく方針だという。

(翻訳・田村広子)

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