4Dイメージングレーダーで低コスト自動運転車量産へ。中国新興「G-PAL」、米SAEから資金調達

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

4Dイメージングレーダーで低コスト自動運転車量産へ。中国新興「G-PAL」、米SAEから資金調達

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

自動運転システムを研究開発する「上海幾何夥伴智能駕駛(G-PAL)」(以下、G-PAL)がこのほど、新たな戦略投資の獲得を発表した。米国自動車技術者協会(SAE International、以下:SAE)が単独で出資した。

G-PALとSAEは今後、自動運転最適化に向け以下の項目を実施する。まず「上海完全自動運転(Full Self-Driving、FSD)認識融合インテリジェント意思決定プロジェクトセンター」を設立する。また、ニューラルネットワークのプロセッサ(Neural Processing Unit、NPU)である高性能FSDコンピューティングプラットフォームの開発や、上海での次世代国家AIイノベーションモデル地区建設のための、FSD関連のチップ・ソフトウェア・テスト・アプリケーションを含む新たなエコシステムの構築。そして、自動・無人運転分野の計画を強化して自動車業界の将来的発展を促進する。

G-PALは2021年8月にプレシリーズAで「経緯中国(Matrix Partners China)」やスマートフォン大手シャオミ(小米科技)傘下の「湖北省小米長江産業基金」、IT大手百度(バイドゥ)のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「百度風投(Baidu Ventures)」など、複数の出資者から5億元(約100億円)を超える資金を調達したほか、今年2月には自動車部品大手ボッシュ傘下の中国市場向け投資プラットフォーム「博原資本(Boyuan Capital)」から戦略投資を獲得している。

G-PALは2018年10月に設立された。自動運転ソフトウェア・ハードウェアの開発から製造、販売、エコシステム構築までを手掛け、低コスト、全天候型、高信頼性、量産しやすい技術を追求している。

同社は4Dイメージングレーダーを主なセンサーとし、可視光画像や赤外線画像などを補助的に取り入れた、天候や時間に左右されない認識システムを主に提供している。また、自動運転のレベル2(部分運転自動化)からレベル5(完全運転自動化)までの、機械認知と深層学習に基づいた自動運転ソフトウェア・ハードウェアのインテグレーションシステムと総合的ソリューションを提供する。

これまでの車載用ミリ波レーダー(3Dレーダー)の主な機能は動体障害物の認識で、対象物とレーダー間の距離、方角、速さの情報を得られるが、視覚化や画像認識はできなかった。

一方、4Dイメージングレーダーは画像化が可能だ。対象物の高さのデータの解析が加わり、距離・方角・高さ・速さという4つの情報を認識して、静止物や周囲の環境を豊富な点群データにすることができる。

イメージングレーダーと点群データ(画像:G-PAL)

米EV大手のテスラは自動運転では視覚重視の路線をとってきたが、先ごろ、同社EVへの新たな高解像度のレーダー採用を米当局に申請したと海外メディアが報じている。報道によると、高解像度レーダーで画像を生成し、同社独自の自動運転視覚ソリューションの予備システムにするという。

技術面についてG-PALの薛旦CEOは「運転のスマート化が普通のことになれば、乗用車では4Dイメージングレーダーがより重要な役割を果たすようになる。レーダーの電磁波の特性で現在のLiDARやカメラなど光学センサーとは異なる情報を認識することができるため、予備的な認識機能として、低コストで全天候型の自動運転実現を押し進めるだろう」と語った。

さらに薛CEOは自動運転について、ハイエンド車の一部に固体LiDARを1~2個搭載して前方正面の高精度認識に対応する完成車メーカーもあるが、固体LiDARの視野角は60~120度程度で、360度をカバーすることはできず、価格を下げる必要もあると指摘。4Dイメージングレーダーなら高精度の認識や低コストに対応可能で、固体LiDARと組み合わせれば高度自動運転の実現はそう遠くないとの考えを示した。

G-PALはこのほか全く新しいスマート運転システムを研究している。イメージングレーダーとカメラをそれぞれ5つずつ使用する「5R5V」や、それぞれ5つと7つ使用する「5R7V」によりレベル4以下の自動運転に要求される認識能力を実現し、ソフトウェア・ハードウェアのコストは1000元(約2万円)レベルに抑えられるというものだ。

量産化という点では、同社の4Dイメージングレーダーによる自動運転ソリューションは、すでに大手自動車メーカー「上海汽車集団(SAIC MOTOR)」の商用車テストに合格し、少量が納入されている。乗用車では上海汽車集団が23~24年に発売するモデルでテストが始まっており、出荷前の装備が進められている。また、その他のメーカーでも採用されるという。

薛CEOは、24年から4Dイメージングレーダーの規模が拡大し始め、27年には業界で一気に採用されるようになるだろうと述べた。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録