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現在、注目を集める生体認証技術の一つに「指静脈認証」がある。手指に赤外線を照射すると、赤外線に近い色を持つ血液中のヘモグロビンが強調されて見えるため、筋肉や骨などに比べ静脈部分が目立って認識される技術だ。検出された静脈パターンは、事前に登録された静脈パターンとの照合が行われる。
指静脈認証は他の生体認証に比べ、よりセキュリティ評価が高い。指紋や顔など外面に出ている部分と比べ、静脈は第三者に盗用される可能性が低いからだ。
中国企業「燕南科技(yannan tech)」は、指静脈認証関連製品とソリューションを手がける企業だ。北京大学人工知能実験室の技術や人材を基盤に設立され、同分野における国家規格の制定にも携わっており、2015年には「達晨創投(FORTUNE CAPITAL)」から数千万元規模の出資を受けている。
同社が主に手がける分野は教育、金融・銀行、政府機関だ。
最も早くから手がける教育分野では、学校の試験、運転免許証取得試験、公務員試験など、さまざまな試験の身分認証に活用されている。
金融・銀行分野では、内部セキュリティやATMに同社の技術が導入されている。内部セキュリティとは、担当者の個人認証が要求される業務における安全管理を指す。こうした業務には従来から暗証番号や指紋認証が採用されているが、指静脈認証はより精度が高い。
政府機関分野でも、金融機関と同様の用途で導入されている。
事業スキームとしては、モジュールや製品などの小型ハードウェアで収益を得ている。また、個別の利用シーンに合わせたソフトウェアプラットフォームを提供し、ハードウェア製品と一体となったソリューションを販売する。
現段階で年間売上高は数千万元規模に上るが、金融機関、行政機関への進出は今年に入って始動したため、今年はより大きな成長が見込める。
製品の導入分野に関し、同社の李向明CEOは、より高い安全性と安定性が求められる前出の三分野に加え、ミドルレンジ~ローエンド市場向けにスマートロック製品の展開を考えているという。同社は当初、スマートロックに要求される精度が指紋認証でも十分である点や、利益率の低さ、競争の激しさからから、ミドルレンジ~ローエンド市場は敬遠してきた。また、社会保障分野では顔認証が急速に普及してきているが、顔認証の方が指静脈認証より遠隔操作に適している。
指静脈認証の事業化を阻む要素としては、コストが高い、場所をとる、消費電力が大きいなどがある。ただし、競合もまだ少ない。現在、中国内で指静脈認証関連の製品・ソリューションを提供できる企業は日立(中国代理店)、「微盾科技(WEDONE)」、「鑫保泰(SIMBATEC)」などに留まっている。
(翻訳・愛玉)
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