中国スタートアップ、独自開発の大型貨物ドローン ECの物流増に対応

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貨物輸送用ドローンは今後の新しい物流エコシステムの重要な一部分で、中国のスマート物流やドローン物流を象徴するものだ。主な市場に、小型ドローンによる端末輸送、積載重量100キロクラスのマルチコプターなどを使う中・短距離配送、最大離陸重量が数トンになる大型ドローンによる支線配送などがある。

あるデータによれば、20年後、世界のドローン市場は10兆元(約200兆円)規模になり、そのうち中国の貨物輸送ドローンが8千億元(約16兆円)という。中国で大型貨物ドローンを開発する企業は少なく、物流大手「順豊(SFエクスプレス)」やEC大手「京東集団(JD.com)」の物流子会社「京東物流(JD Logistics)」など大規模物流企業のほかはスタートアップ数社のみだ。そのうちの一社、「白鯨航線(AirWhiteWhale)」は2021年に設立された。

創業者の胡震東CEOは北京航空航天大学卒業、博士学位を持ち、エアバスや中国商用飛機(COMAC)など航空機メーカーで働いた経験がある。胡氏は、中国で既に固定翼大型貨物ドローンに関する運航基準が正式に公布され、物流業界にも大型貨物ドローンによる支線配送の明確なニーズがあるため、市場拡大の大きなチャンスを迎えていると語る。

中国国内の空の支線配送はほぼ空白の状態だが、航空機を使った幹線輸送で貨物をハブ空港へ運び、そこから各都市へトラック輸送する方式はかなり定着している。胡氏によると、今後しばらくECの地方拡大は続くことから、航空貨物に対するニーズも高まると思われるが、今は適切な輸送手段がないので大型貨物ドローンの拡大が期待されるという。

白鯨航線の初号機「W5000」は、最大離陸重量10.8トン、最大積載重量5トン、標準航続距離1200キロメートル、最大航続距離2600キロメートル、後部ハッチは貨物の積み下ろしをしやすい設計になっている。標準タイプのカーゴコンテナとパレットを使用でき、貨物室容量は65立方メートルで各種貨物に対応可能だ。

一般的な貨物機に比べ、大型貨物ドローンはコスト面でも優れている。パイロット不要で機体構造を軽量化しているため、人件費と燃料コストを削減することができる。またコックピット、ドア、与圧や酸素、空調などのシステム、トイレなどもないため製造コストと運用コストを削減できており、自動運転と状況認識能力を強化することで貨物ドローンのスマート化をさらに進めている。

胡氏は、白鯨航線は機材の設計に優位性があると考えている。同社の大型貨物ドローンは既にある機材を改造するのではなく、ニーズに合わせてゼロから新たに設計、開発したもので、より支線配送に適している。

「私たちは航空支線配送の市場価値を明確にした。また航空機の設計においても、サプライチェーン管理についても豊富な経験がある点で有利だ。中国の航空産業チェーンはほぼ完成されており、大型貨物ドローン商用化の基礎になる。また中国は5Gや衛星測位システム、AI(人工知能)、自動運転などの技術も最先端にあることが、研究開発の大きな助けになるだろう」とも語った。

白鯨航線は2022年10月1日に内モンゴル自治区包頭市の五当召空港でW5000大型ドローンの3分の1スケール実験機による初の試験飛行に成功した。速度ごとの地上滑走特性、離着陸性能、基本的低速空力特性試験など、多くの試験項目を実施した。また陝西省西安市に研究開発センター分室を設けたほか、W5000の製造と納入に対応できるよう江蘇省常州市にも製造・試験拠点を設ける計画だ。

同社は現在、1億~1億5000万元(約20~30億円)の資金調達を計画している。この資金により人員拡充、設計・研究開発、部品の試作や試験などを進めたいとしている。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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