ビデオ会議市場にフォーカス、コスパ最強の製品開発で大手企業を猛追する「LIW VR」

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今年4月、ビデオ会議ソフトウェアを手掛ける「Zoom」が米ナスダックへの上場を果たした。株価は上場初日に72%値上がりし、市場価値は159億ドル(約1兆6800億円)に達した。市場は遠隔ビデオ会議という分野に大きく着目しており、米コンサルタント企業フロスト&サリバンのデータによれば、2017~2021年の世界のビデオ会議市場の年平均成長率は8.3%となる見込みで、2018年の市場規模は509億ドル(約5兆4000億円)に達している。

シスコシステムズ、マイクロソフト、インテル、グーグル、ファーウェイなどの大手テック企業に加え、ここ数年ではZoomをはじめとする多くのスタートアップ企業がビデオ会議市場に注力し、大手企業を猛追している。中国ではテンセントからシリーズCで数億元(数十億円)を調達した「小魚易連(Xiaoyu Link)」や、AIノイズキャンセリング機能を搭載した会議録音設備を手掛ける「蛙声科技(Auditoryworks)」、スマート会議端末や全方位携帯カメラCOOLPOを手掛ける「荘生暁夢(LIW VR)」などがその代表例だ。

荘生暁夢のスマート会議端末は、USB型でパソコンに挿せばすぐに利用できる。市場で主流となっているクラウドビデオ会議システムとの共用が可能で、主に企業の中小会議室(10~30平方メートル)での利用を想定しており、以下のような機能がある。

■全方位カメラと全指向性マイクにより、画面がリアルタイムで発言者に自動フォーカスされる。

■音声識別機能により、議事録を自動生成する。将来的には会議中の字幕表示機能も実現される予定。

■音声ノイズキャンセリング機能により反響音をカット。

■360度双方向広角モードを搭載し、画面の切り替えもボタン一つで可能。

スマート会議端末のコア技術は、音源位置の全方向ポジショニング、全方向ビジョンアルゴリズム、視覚・音声融合認証アルゴリズムなどであり、荘生暁夢はこれらを比較的安価なICチップに集積し、自社での製品開発を実現しており、これも同社の強みとなっている。

「会議システム関連企業は、主にシステムの動作の安定性や安全性に重きを置いている。だが我々の端末では、インタラクティブ性やユーザーエクスペリエンスの向上を実感してもらえるはずだ」と朱雷震CEOは語り、さらにこう続けた。「さらにアイフライテック(IFLYTEK/科大訊飛)といった音声認識による議事録作成サービスを提供する企業とも協業が可能だ。当社のシステムでは発言者の情報も明確になるため、議事録の正確性向上に貢献できる」

現在、荘生暁夢のスマート会議端末は「海康蛍石(ezviz)」とも緊密に提携しており、今後はSaaSによるビデオ会議システム事業者に向けて市場を開拓していく計画だ。

一方で「COOLPO」は、一般ユーザー向けの商品で、携帯電話のカメラに直接取り付けることができ、ソフトウェアとの連動でパノラマ撮影や超広角手ぶれ補正動画の撮影が可能となっている。

COOLPO

荘生暁夢は過去に画像結合ソフトウェアやストリートビュー関連商品の開発経験があり、これらがCOOLPO開発の基盤となっている。同商品は充電不要で、携帯電話に取り付けるだけで使用が可能。自社開発したアプリには、電子手ぶれ補正アルゴリズムや、スマート画像編集・結合アルゴリズムが搭載されており、商品の優位性を高めている。

朱CEOによると、ウェアラブルカメラ「GoPro」やパノラマカメラといった専門デバイスと比べると、COOLPOはその2割の価格で70%前後の視覚効果を実現しているという。現在、販売チャネルに関しては提携パートナーを募集中だ。

同社のメンバーは現在12名で、上海と米アリゾナ州フェニックスに拠点を構える。朱CEOは個人消費向けソフトウェア・ハードウェアやビジネスソリューション関連商品の開発に長年携わった経験をもつ。他のメンバーも画像アルゴリズムやICチップの関連企業、研究機関の出身者が多い。

資金調達に関しては、昨年3月に東方国獅集団傘下の「北京東方国獅(DFGS)」からエンジェルラウンドで数百万元(数千万円)を調達しており、現在はプレシリーズAでの資金調達を計画している。
(翻訳・神部明果)

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