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日本車は燃費がよくコストパフォーマンスの高さに定評がある。しかし中国では国産ブランドの新エネルギー車が存在感を増すにつれ、日系メーカーのガソリン車は徐々にシェアを失いつつある。
中国では東風汽車集団と日産自動車の合弁会社・東風日産が販売する「軒逸(シルフィ)」が長期間にわたり販売台数最多を誇っていた。燃費の良さ、快適性などから、2020年には54万1000台、21年には51万3000台を販売し、中国の自動車販売台数ランキングで首位を保ってきた。
しかし2022年、シルフィは中国のEV最大手BYD(比亜迪)の「宋(Song)」によって首位の座から引きずり降ろされる。宋の年間販売台数は47万9000台、前年比137.4%増でトップに立った。シルフィは42万1000台で同18%のマイナスとなり、第2位に終わった。
シルフィの現状は日本車全体の縮図でもある。中国の自動車市場では、ガソリン車は新エネルギー車に、海外ブランドは中国ブランドに取って代わられるという流れが色濃くなってきた。
中国の自動車業界団体・全国乗用車市場情報連合会(CPCA)のデータによると、日本車の中国市場におけるシェアは2020年の24.1%から、23年上期には17.6%にまで落ち込んだ。6.5%という減少幅は全カテゴリの中で最大だ。
ホンダは今年上期の販売台数が52万9700台で、前年同期比で22%減少した。トヨタ自動車も同2.8%減の87万9400台となった。日産自動車は7月26日、中国の23年販売台数が前年比で23%減少し80万台となる見通しを発表した。
一方で中国メーカーのシェアは20年の35.7%から増加の一途をたどり、23年上期には49.5%にまで拡大している。
スイスの金融大手UBSグループで中国自動車産業を研究する巩旻氏によると、中国の自動車市場では2030年頃までにEVへのシフトがほぼ完了し、中国メーカーのシェアが80%に達する可能性があるという。
日系メーカーも指をくわえて見ているわけではない。今年5月、東風日産がハイブリッドシステムe-POWERのSUV「奇駿(エクストレイル)」を、中国第一汽車集団とトヨタ自動車の合弁会社・天津一汽豊田(一汽トヨタ)が新型「卡羅拉(カローラ)」を、広州汽車集団と本田技研工業(ホンダ)の合弁会社・広汽本田汽車(広汽ホンダ)がフルモデルチェンジした「雅閣(アコード)」を相次いで発表した。市場の反応はまずまずだ。
一汽トヨタはbZシリーズの新型車「bZ3」など純電気自動車(BEV)の広告を大量に打ち、電動化への並々ならぬ決意を示している。東風汽車集団とホンダの合弁会社・東風本田汽車(東風ホンダ)も、スマート化・電動化へ向け大きく舵を切り、2027年までにガソリン車の新車販売を終え、30年までに10モデル以上のBEVを発売することを発表している。
(36Kr Japan編集部)
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