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地方市場向け投資の人気上昇に伴い、売れ残り品の在庫処分事業も注目されつつある。売れ残り品の発生は需給のミスマッチによるもので、消費者側からみれば、消費水準の細分化の表れである。景気の下振れが続く中で、消費者の購買行動が理性的になっていることが要因だ。
上記のような状況を受けて、中国では売れ残り在庫処分事業者が増えている。「桃庫存(TaoKuCun)」もその一員で、今年5月にローンチされ、現時点ではSNSアプリ「Wechat」内のミニプログラムとしてサービス提供をしている。その事業は消費者向け(2c)のソーシャルネットワーク型ECサイトを通して売れ残り在庫の販売をするというもので、現時点での登録会員数は30万に上る。他社との差別化のポイントは主に以下の3つだ。
● 商品の種類:スーパーで販売される日用規格品がメイン
● ビジネスモデル:消費者への直接販売(2c)
● 利用形態:無料会員(物品購入のみ)か有料会員(年会費を支払うが、キャッシュバックを受けられる)になるかを選択可能
売れ残り在庫の内わけ:売れ残りの規格外品のと消費期限間近の規格品
日用消費財(FMCG)は、流通過程において、売れ残り在庫が発生しやすい。アパレル業界がその典型的な例で、完全にコントロール可能なスマート製造が実現できるまで、売れ残りは業界全体の悩みの種であり続ける。ECプラットフォーム「愛庫存(aikucun.com)」が提供するデータによると、中国の各アパレルブランドには、少なくとも合計2兆元(約30兆円)の在庫があり、その在庫は毎年5%のスピードで増加しているという。
そのため、アパレル業界では売れ残り在庫処分に対する投資が盛んだ。オンラインの「唯品会(vip.com)」、愛庫存以外に、オフラインの在庫処分業者も多数存在する。オフラインの場合は、大型売り場を持つ方式とサプライチェーンのサポートが必要な小型フランチャイズ店舗方式がある。
規格品においては、在庫が生じる理由のうち大きなものに「賞味期限」がある。賞味期限間近の商品が最もその影響を受けるが、賞味期限=消費期限ではない。一方、小売業者は消費者体験とプロモーションを重視するため、商品の入荷から販売に至るまで、賞味期限に対する要求が厳しい。通常、消費期限までの期間が残り1/3未満になれば、販売を中止し、メーカーか卸売業者によって処分されることとなる。
また、商品がモデルチェンジされた場合、旧モデルの販売が強制的に中止される場合も多い。例えば小型家電製品や、ティッシュ、パーソナルケア製品等がその部類に入る。桃庫存のCMO(最高マーケティング責任者)の成崗氏によると、このような商品が桃庫存の主力商品となっている。
桃庫存のプラットフォームでは、大型スーパーで販売されているFMCGがメインで、消費期限間近の商品は5%未満だ。
規格品をメインに販売している理由について、桃庫存の担当チームは、参入者が少ないこと以外に以下の理由を挙げる。
● 規格品は返品・交換が殆どないため、効率がいい
● 日用品の消費頻度は高く、特殊な需要ではないため、ターゲット消費者の範囲が広い
● 新しいプラットフォームにとって、ノーブランド商品より、ブランド商品を販売したほうが消費者との信頼関係を構築しやすい
担当チームが提供したデータによると、新規ユーザーが1回桃庫存で買い物をし、同社に対する信頼が確立された場合、リピート率は約80%となり、月間5回以上買い物するユーザーは80%に上る。
桃庫存の販売方式は代理販売で、商品の定価が一般ECサイトの約50%だ。
会員制ECサイトはまだスタート段階であるためまずユーザーに「お得感」を持たせる必要がある
成崗氏によると、桃庫存は中間業者(b)を排除し、直接に消費者へ販売する(2c)ビジネスモデルだ。商品の販売による利益ではなく、年会費を主要収益源とする。プラットフォーム側は商品の価格に、15%しか利益を上乗せしておらず、運営コスト分以外はユーザーにキャッシュバックし、さらなる消費を奨励している。
年会費を収益源にする考え方はコストコに似ているが、先に年会費を支払う必要がない。プラットフォームで買い物するだけなら入会と年会費の支払いが不要だが、キャッシュバックを受けたい場合は入会して年会費を支払うことが必要となる。現時点では、年会費は198 元(約3000円)と設定されている。
このような利用方法にした理由としては、会員制ECサイトがまだ少ないため、大々的な宣伝によりユーザーを説得するよりは、年会費を支払う前に、割安で買い物ができるというお得感を持たせたほうがより効率的だからという。
(翻訳・小六)
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