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レーザー計測装置を手がける中国スタートアップ企業「光恒科技(EMGO-TECH)」がこのほど、シリーズBで5000万元(約10億5000万円)以上を調達した。中核産業基金や倶成創投などが出資した。資金は新型レーザー計測装置の量産に充てられる。
2017年3月に設立された光恒科技はハイエンドな受動部品からレーザー装置に至る垂直統合によって、フルセットのレーザー計測ソリューションを提供している。創業者の趙徳平氏によると、同社はファイバーレーザー計測と3D画像生成のコア技術を基に、製品の活用シーンを拡大し、現時点では主に気象観測、風力発電、中核部品の3事業を展開している。
この2年間は風力発電の分野に力を入れている。既存の風況観測ツールが抱える精度の限界、中核部品およびモジュールの国産率の低さ、コスト、低い普及率などの課題を解決するため、同社は風況を観測するドップラーライダーの国産化に焦点を当てている。
自社の気象観測技術をベースに独自開発したドップラーライダーには、ナセル搭載型、地上据置型、3Dスキャニング、測風塔といったタイプがある。風力資源の評価、風力発電所の防災・減災、風力発電機・発電所の一体的制御、複雑な地形での風況観測などに活用され、国産化率は95%以上に達している。
風向きが絶えず変化する中、風力エネルギーを最大限利用するには、風力発電ユニットを風に正対させておく必要がある。一般的に風速が1%変わると発電量に3%前後の影響をもたらすと言われており、わずかなずれでも発電事業者に莫大なコストが発生し、プロジェクトの収支に影響を及ぼす。
ドップラーライダーで収集したデータを制御システムに入力すれば、事前制御が可能となるため、発電量の増加や負荷の軽減などにつながる。
趙氏によると、20秒前に風況を計測できるドップラーライダーと、風力発電ユニットのヨー制御およびピッチ制御を組み合わせることで、風力エネルギーが最大になる位置を長時間にわたって保つことができ、発電量を平均で約3%増やせる。また、台風などの悪天候では、予測される強風を事前に捉え、ピッチ制御を最適化することで発電ユニットの負荷を軽減し、安全性と安定性を大幅に向上させることができる。
向こう1~2年の間にほとんどの風力発電機メーカーがドップラーライダーを標準搭載することになるとし、風力発電向け風況観測市場が年間数億元(数十~百十数億円)ずつ成長すると趙氏は予測した。
ドップラーライダーのほか、同社は気象観測向け装置と中核部品も手がける。気象観測向け装置は主に空港で活用される。航空機は離着陸時に風向や風速が急変する「ウインドシア」に遭遇する。同社のレーザー雲高計は3層の雲底高度を計測し、雲がない場合の視界を提供することでパイロットの認識と飛行リスクの回避を助ける。中核部品事業ではアイソレータ、サーキュレータ、ビームスプリッタなど複数の製品カテゴリを展開し、超高速レーザー(ハイエンド受動部品)分野において業界トップレベルにある。
*2023年12月5日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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