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ロシアと国境を接する中国最北端の黒竜江省にあるハルビン(哈爾濱)が、今年の冬の旅行先として爆発的人気を博した。特に1月から2月にかけて開かれる氷祭りは、SNS映えするコンテンツとして観光客が殺到、黒竜江省によると2024年の春節期間(2月10日から17日)に同省を訪れた観光客はのべ2221万人超で前年比75.9%増加した。実は筆者も春節休暇を利用して、香港から中国を縦断してハルビンに遊びに行った。
ハルビン旅行のSNS投稿がきっかけで人気旅行先に
ハルビンは極寒だ。北海道の稚内とほぼ同じ緯度にあり、12〜2月の平均気温は氷点下14.6度まで下がる。寒さを生かした雪や氷のテーマパークや、大きな鉄鍋で肉や野菜を煮込んだ鍋料理の鉄鍋炖や豚肉の甘酢あんかけの鍋包肉などの東北料理、隣国の影響を受けたロシア式の建物などが見どころだ。
以前から冬の定番の観光地だったハルビンだが、コロナ禍収束後に人気がさらに高まっている。春節にハルビンを含む黒竜江省を訪れた観光客はのべ2221万人を超え、観光収入は前年同期から倍増し、272億元(約5712億円)に達した。
人気爆発のきっかけは、中国南部からハルビン旅行に向かう中国人を「南の小さなじゃがいも(南方小土豆)」表現する動画がSNSバズったことだと言われる。中国版TikTokの抖音(Douyin)やInstragramの小紅書(Red)をみると、自らを「南方小土豆」と表現したり、ハルビン在住者が「南方小土豆」に対して熱いもてなしをする動画がたくさんヒットする(中国南部に暮らす中国人は、北部に暮らす中国人に比べ平均身長が低く、彼らがたくさんの服を着込んで寒いハルビンに向かい、空港や鉄道の駅などに集まっている様子をじゃがいもに例えた表現がウケたようだ)。
人気観光スポットは冰雪大世界(ハルビン氷祭り)
ハルビンの冰雪大世界(ハルビン氷祭り)は非常に知名度が高く、冬場に中国人に「ハルビンに行く」と言うと、十中八九「冰雪大世界に行くのか?」という回答が返ってくる。札幌の雪まつりに近いが、雪ではなく氷でオブジェが作られていて、夜になるとライトアップして幻想的な雰囲気を醸す。面積は約81万平方メートルあり、東京ドーム約17個分の広大な敷地に、巨大な氷のオブジェがいくつもある光景は圧巻だ。場内はSNSに投稿するため、写真や動画撮影をする人で溢れており、ほぼ全ての場所が撮影場所になっているのが印象的だった。
全長500m以上ある氷の滑り台に乗るのも大人気で、氷点下15~20度近くある日でも数時間待ちになることもあるという。筆者は待ち時間の長さに断念した。
冰雪大世界は通常2月末まで開かれるが、今年は気温が比較的高い日が続いたため氷が溶け始め、2月15日で営業を終了してしまった。2カ月の期間中にでのべ271万人が冰雪大世界を訪れたという。
中央大街のアイスキャンディーも人気スポット
ハルビン中心部の中央大街は、冰雪大世界と並ぶ観光スポットだ。1898年に作られた大通りは石畳が敷き詰められていて、ロシア風の建築物が並んでいる。ロシアからの輸入品を扱う商店や、ロシア料理レストランなども多く、中国にいながらロシアの雰囲気を感じることができる。近くには聖ソフィア大聖堂というロシア正教会の教会もあり、冰雪大世界と同様、多くの観光客が教会の前で写真撮影に励んでいた。
中央大街でのマストバイは馬迭爾(Modern)のアイスキャンディーだ。1906年にロシア系ユダヤ人が創業したブランドで、中央大街にホテルやレストラン、ビアバーなどを構えている。寒いときは氷点下20度以上にもなる冬のハルビンで食べるアイスキャンディーも中央大街の風物詩の一つで、アイスキャンディーを売る店は観光客で大行列ができていた。
筆者は7年前にもハルビンを訪れたことがあるが、当時と比較して冰雪大世界や中央大街などの観光地に大きな変化は感じられなかった。ハルビンバズりの背景には冰雪大世界のようなSNS映えする観光地と、SNSでバズった「南方小土豆」に乗っかった投稿でさらなるバズりを狙う投稿者の影響が大きそうだ。来年以降もハルビン人気が続くのか、それとも新しい人気観光スポットが生まれるのかそのトレンドにも注目したい。
作者:阿生
東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。Twitter:iam_asheng
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