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米電気自動車(EV)大手のテスラは2月末、中国で同社独自の先進運転支援システム(ADAS)「FSD(フルセルフドライビング)」の一部アップデートを提供した。しかし、中国の法律では中国で集めたデータは国内で保存し、国外転送する際は審査が求められるため、テスラは中国の道路で収集したデータを米国に転送してシステムをトレーニングできない。また、米国政府もテスラが中国で人工知能(AI)ソフトウエアをトレーニングすることを禁じている。このため、FSDのバージョン13は中国の道路で本来の性能を発揮できず、ドライバーが車線を間違えたり、赤信号を無視したりといった交通違反を頻繁に犯してしまうこととなった。
これを受け、中国ネット大手の百度(バイドゥ)がこのほど、テスラの北京オフィスにエンジニアチームを派遣し、百度のナビゲーション地図データとFSDバージョン13との統合改善を実施していることが分かった。関係者によると、車線標示や信号機などより正確かつ新しい地図データを用いて、FSDバージョン13を中国の道路により適合させることが目的だという。ただし、派遣されたエンジニアの人数や、現在もテスラのオフィスに残っているかは明言しなかった。3月13日にロイターが報じると、米ナスダック市場では百度の株価がやや上昇した。
テスラの中国シェアは、中国の比亜迪(BYD)や新興EV メーカーに押されて低下している。中国メーカーがFSDと同様の運転支援システムを搭載したEVを、テスラよりも安価に提供していることが一因になっているとみられる。
百度は中国有数の地図プロバイダーで、中国最大の無人タクシー運営企業でもあり、2020年からテスラにナビゲーション地図を供給している。
(36Kr Japan編集部)
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