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高性能な四足走行ロボットや人形ロボットで知られる中国のスタートアップ「宇樹科技(Unitree Robotics)」がこのほど、第二世代のロボットハンド「Dex5」のデモ動画を公開した。Dex5は、片手で20の自由度を持ち、なめらかで柔軟なバックドライバビリティ(逆駆動性)を実現。また、オプションで触覚センサーを最大94個も搭載できるという。
2024年5月に発表した初代ロボットハンドの「Dex3」は、重さ45gで自由度は7、耐荷重は0.5~20kg、家庭や産業現場での使用を想定している。デモ動画では、物を持ち上げて置くという簡単な作業のほか、棒を振る、ボトルのふたを開けて中身を注ぐ、クルミを割るといった様子も披露されている。
第二世代のロボットハンドDex5は、初代の3本指から5本指に進化し、自由度や駆動方式、感知システムも大幅に向上した。
自由度はロボットハンドの器用さを示す主な指標で、自由度が高いほど細かな動きが可能になり、活用できる場面も広がる。Dex5は片手で20の自由度(アクティブ16、パッシブ4)を備え、親指はアクティブな自由度4、ほかの指はアクティブ3+パッシブ1の自由度4となっている。
全ての関節に外部からの力に対しても柔軟に動く逆駆動性を持たせ、物をつかむ、投げる、つまむ、受け取る、ねじるといった動作が可能。デモ動画では、右手で投げ上げた果物を左手でキャッチしたり、トランプやルービックキューブで遊んだり、本のページをめくったりする様子が紹介され、その性能の高さが示された。
ロボットハンドは人型ロボットが周囲と関わるうえでの中心的なパーツであり、人型ロボット実用化の鍵を握るパーツだ。現在、中国のロボットハンド分野には、コア部品メーカーやロボットメーカー、大学や研究機関などが参入しており、産業全体が技術革新と商用化の重要な局面を迎えている。
今年に入り、人型ロボットの小規模量産が実現しつつあるなか、メーカー各社はロボットハンドの性能向上、コスト削減、活用シーンの拡大などをめぐって激しい競争を繰り広げている。
米テスラは2024年末、ロボットハンドの性能とコストのバランスを取るため、自由度を従来の22から16に減らし、25年6月以降に量産を開始する方針を明らかにした。
高い自由度とコストパフォーマンスを強みとする中国のロボットハンドメーカー・霊心巧手(Linkerbot Technology)は今年1月、独自開発したロボットハンド「Linker Hand」のチタン版「T10」と「T20」を新たに発表した。価格はT10が1万9999元(約40万円)、T20が4万9999元(約100万円)となっている。
人型ロボットメーカーの魔法原子(MagicLab)も、今年2月20日にロボットハンド「MagicHand S01」を発表した。片手の自由度は11、力の分解能は0.1Nで、卵をつかむ、ボトルのキャップを開ける、2本の指で精密部品を操作するなどの動作が可能。人型ロボット「CASBOT(霊宝)」を手がける中科慧霊機器人は、年内のリリースを予定している二足歩行式および車輪式の人型ロボットに、新型のロボットハンドを搭載するという。
公開されたデモ動画を見る限り、Dex5はテスラをはじめとする主要ロボットメーカーの第二世代製品と比べても遜色ない性能に仕上がっている。
一方で、Unitreeの資金調達に関する報道も注目を集めている。経済メディア「財経」は、Unitreeがアリババグループ傘下のアント・グループや通信大手の中国移動(チャイナモバイル)から出資を受ける計画だと報じた。しかし創業者である王興興氏は事実ではないと否定している。
Unitreeは直近で資金調達を実施したのは2024年9月。北京ロボット産業発展投資基金の主導のもと、深圳市創新投資集団(SCGC)、美団傘下の龍珠資本(Dragonball Capital)、紅杉中国(Hongshan、旧セコイア・チャイナ)など14の著名投資機関が出資に参加し、評価額は80億元(約1600億円)に達した。
なお、初期投資家であるSevenUp Capitalの創業者・趙楠氏によると、Unitreeは2020年以降は毎年黒字を維持しており、当面は新たな資金調達を実施する予定はないという。
*1元=約20円で計算しています。
作者:億欧網(WeChat公式ID:i-yiou)、翻訳・畠中裕子
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